汚職疑惑の8人交代 ジョコウィ氏 組閣にKPK活用 容疑認定「赤1年、黄2年」

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は22日、汚職撲滅委員会(KPK)の調査で、8人の閣僚候補が汚職疑惑を指摘されたと発表し、候補を入れ替えるため新内閣の発表を見送った。ジョコウィ氏側と所属政党の闘争民主党(PDIP)の間で組閣をめぐる対立があるとみられる。カラ副大統領は23〜26日の間に発表する見通しを示した。
 汚職関与が指摘されたのは、ジョコウィ氏がKPKと金融取引報告分析センター(PPATK)に提出した閣僚候補名簿の43人のうち、連立与党が推薦した8人とみられる。
 ジョコウィ大統領は同日午後、大統領宮殿の庭で、ムルドコ国軍司令官や陸海空軍の各参謀長、スタルマン国家警察長官を従え記者会見し、調査で「8人に問題があると指摘された。代わりの候補を(KPKに)示した」と明らかにした。この8人をめぐり、メディアが臆測を報じていることについて不快感を示し「名指しした上で間違えている」と指摘。推定無罪の原則に従うよう求めた。
 KPKのサマッド委員長は同日午後、大統領宮殿を訪れ、ジョコウィ氏と会談した。サマッド氏は「赤信号、黄信号の意味が何かを伝えただけ。赤も黄も同じで閣僚になってはいけないと説明した。例えだが赤は1年以内、黄色は2年以内。これが1日、2日以内になるとも言える」と述べ、汚職容疑者と認定されるまでの期間を示した。ジョコウィ氏は19日にKPK庁舎を訪れサマッド委員長らと面会したという。
 また同委員長は「疑いのある候補の入閣を強要した場合、ジョコウィ氏が清廉な政権をつくるとした公約はリップサービスに過ぎなかったということになる」とけん制し、情報機関や資産報告などを基にKPKが下した客観的な判断であることを強調した。
 政党候補の1人、民族覚醒党(PKB)のムハイミン党首(前労働移住相)は21日辞退を申し出た。疑惑のある政党候補に対するジョコウィ氏のけん制が、メガワティ党首らの反発を生んだとの見方も出ている。
 同日夕には午後7時ごろ、ジョコウィ氏が新内閣を発表するとの観測が出た。発表場所に北ジャカルタのタンジュンプリオク港を選び、自身が掲げる「海洋国家」をアピールする予定とみられたが、急きょ延期された。カラ副大統領は「組閣では専門性、地域、党、民族、宗教などへの配慮が必要だ」と話した。
 組閣に絡み、21日から多数の要人が大統領宮殿を訪問。21日は中銀のミルザ・アディトヤスワラ上級副総裁、ハヌラ党のユディ・クリスナンディ氏、リャミザード・リャクドゥ元陸軍参謀長、ヘンドロプリヨノ元国家情報庁長官ら。22日はバンバン・ブロジョヌゴロ財務副大臣、ナスデム党のシティ・ヌルバヤ氏らが訪れた。(吉田拓史)

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