両候補拮抗、決選は激戦か 20日の首都知事選 調査機関 支持動向 「宗教・民族の影響大」

 ジャカルタ特別州知事選決選投票(9月20日)の選挙キャンペーンが終了した16日、民間調査機関は知事選の支持動向の調査結果を発表した。7月の第1回投票で首位通過したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)中部ジャワ州ソロ市長と、主要政党の支持を取り付けた現職のファウジ・ボウォ知事はほぼ拮抗し、激戦を繰り広げると予想されている。

 インドネシア調査研究所(LSI)と週刊誌テンポが合同で実施した調査では、ジョコウィ氏が45.6%、ファウジ氏が44.7%の僅差となった。9.7%が「決めていない」と回答しており、浮動票の動向が当選を左右しそうだ。
 LSIのブルハヌディン・ムフタディ研究員は、7月の第1回投票以降、ジョコウィ氏の副知事候補でプロテスタントの華人バスキ・チャハヤ・プルナマ氏をめぐり、宗教や民族攻撃に明け暮れた中傷合戦の影響は大きいと指摘する。
 「プロテスタントの首長は拒否する」と答えたのは57.4%に上り、ムスリムの有権者の44.3%が「イスラム指導者が異教徒の指導者への投票を禁じることに賛成する」と回答。「異教徒でも問題ない」と答えたのは48%だった。
 「ファウジ氏を選ぶ」と答えた人のうち21.7%が「自分と同じ宗教だから」との理由を挙げ、ほかには「物資を配布するなど社会的な支援を行っている」と低所得者への配慮を評価した。
 宗教だけでなく、出身民族も重視。45.9%は「華人候補は拒否する」とし、50.4%は問題視しないと回答した。

■「華人」を問題視
 「キリスト教徒」「華人」であることを強調し、「多様性の中の統一」を掲げる国是にも反しかねない禁断の手法で攻撃を仕掛けてきたファウジ陣営に対し、ジョコウィ陣営は当初静観を決め込んでいたが、レバラン(断食明けの大祭)以降、ジョコウィ氏が巡礼した時の写真をレバランのあいさつ用のカードに印刷し、住宅地で配布するなど反撃に転じた。
 ラマダン(断食月)以降、ジョコウィ氏自身も精力的に各地のイスラム指導者巡りをこなしてきたという。
 イスラム保守の福祉正義党(PKS)は、擁立候補が3位で敗北した後、ファウジ氏支持を打ち出しただが、強固とみられている同党の組織票のうち30%はジョコウィ氏を支持、党幹部の方針に従うとしたのは57%だった。
 独立候補のファイサル・バスリ氏の支持者のうち85%がジョコウィ氏支持に回り、ゴルカル党擁立の南スマトラ州知事アレックス・ヌルディン氏の支持者の44%も、決選投票では党の決定と異なるジョコウィ氏に投票するとしている。

■主婦と若年層が鍵
 年齢別では、ファウジ氏支持は55歳以上で48%に上り、37%のジョコウィ氏を大きく引き離した。41―55歳でもファウジ氏は49%でジョコウィ氏の41%を上回り、中高年齢の支持を固めていることをうかがわせた。LSIは、ファウジ氏は特に主婦層に根強い支持者がいるとしている。
 一方で、ツイッターを通じて支持者と交流し、ヘビメタファンとしても知られるジョコウィ氏は、22―25歳で66%、26―40歳で48%と若年層から支持を獲得しているとの結果が出た。
 ファウジ陣営は若年層を切り崩そうと、ジョコウィ氏に倣ってオンラインゲーム「バン・ファウジ」を作ったり、終盤は「州知事さん、ありがとう」といった若者向けの横断幕を各所に設置して支持を訴えている。
 LSIの調査は9月2―7日、選挙人名簿から無作為に抽出した800人を対象に、2回にわたる面接を行う「層化2段抽出法」で実施した。

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