権力闘争の火種の懸念も KPK幹部就任を承認  国会本会議

 国会は六日、本会議で四日に国会第三委員会(法律・地方自治・人権担当)が選出した汚職撲滅委員会(KPK)の委員長と副委員長五人の就任を正式に承認した。クリーンな政府の実現に向け、ユドヨノ政権が汚職撲滅の徹底を図ろうと取り組みを強める中、KPKが再び政治的駆け引きの舞台となり、二〇一四年の次期大統領選に向けた権力闘争の火種となる可能性も秘めている。
 承認後の会見では、旧センチュリー銀行へ二〇〇八年に注入された公的資金をめぐる不正疑惑に関する質問がアブラハム・サマッド新委員長に集中した。
 センチュリー銀問題はユドヨノ大統領周辺の関与も指摘されており、サマッド氏の委員長選出を推し進めた最大野党の闘争民主党(PDIP)や連立与党でありながら政権批判を展開することがあるゴルカル党は、同問題を政権攻撃に利用したいとの思惑があるとみられている。
 ゴルカル党などはセンチュリー銀問題の追及を条件にサマッド新委員長の支持に回ったとの報道もあるが、サマッド氏は「私は誰かの操り人形ではない。尊厳と高潔さと勇気を持った人間だ」と述べ、特定の政党の指示に従うことはないと強調。
 同銀問題の捜査の継続を約束した上で、問題に対する見解については「まだ業務を始めていない」と述べ、明言を避けた。
■現委員長、姿見せず
 承認を決めた本会議場にはサマッド氏のほか三人の副委員長が出席したが、新たに副委員長に就任するブシロ・ムコダス委員長は姿を現さなかった。
 ブシロ氏は第三委員会が先週行った面談も当初、出席を拒んだ。同氏は本会議の欠席について「国会から招待状を受け取っていない」と弁明した。
 昨年十二月に委員長に就任したブシロ氏は、今年一月に政治家約二十人を一斉逮捕、十月には財源を取り決める予算委員会幹部の聴取を実行するなど、政界の汚職に切り込んだ。これに対し国会側は反発。国会はKPKの現体制との対決姿勢を強めていた。
 委員長選挙でブシロ氏に投票しないよう呼び掛けた闘争民主党のアフマッド・バサラ議員は「KPKの議長としてブシロ氏は多くの発言で政党の存在を傷付けた。彼の批判は建設的なものでなく、誹謗中傷のようなものだ」と語気を強めて批判した。


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