アホック知事就任に反対 「食肉処理の場所を規制」 強硬派デモ
強硬派団体・イスラム擁護戦線(FPI)のメンバー約200人は24日、ジャカルタ特別州庁舎前のクボンシリ通りで、アホック副知事の知事昇格への反対を訴えるデモを実施した。来月5日に控えたイドゥル・アドハ(犠牲祭)で、キリスト教徒・華人であるアホック氏は牛やヤギの食肉処理を規制しようとしているなどと問題視。これに対し、アホック氏は規制の事実はなく、宗教対立をあおるうわさを信じないよう呼びかけた。
FPI幹部は車の上で演説し、アホック氏について「食肉処理の場所を規制することでムスリムの宗教活動を制限しようとたくらんでいる」と主張。「ジャカルタ市民の多数派はムスリム。アホック氏の知事昇格を阻止せよ」などと訴えた。アホック氏の政敵であるルルン州議会副議長(開発統一党)も車に上り、「FPIの主張を議会に伝えたい」と応じた。
■アホック氏は否定
強硬派の主張の背景には、食肉処理をめぐるアホック氏や州政府高官の発言がある。アホック氏は「州教育局が小学校などを食肉処理の場所として利用するのはふさわしくないとする通達を出したが、教員の判断に一任するとしている」と説明。食肉処理を禁止したかのように拡大解釈したFPIの主張を否定した。
また例年、中央ジャカルタ・タナアバン市場周辺の路上で牛やヤギが販売されていることについて、アホック氏が販売業者に対し、郡長の許可取得を義務づけたことも問題視された。ダルジャムミ漁業農業局局長は住民から衛生に関する苦情があり、販売場所を制限してほしいとの要望を受けた措置と説明した。
FPIは最近、ジャカルタ各地の街頭に「アホック知事就任を拒否する」と書かれた横断幕を設置。2012年のジャカルタ特別州知事選当時と同様にアホック氏の出自をやり玉に挙げ、批判を展開している。(山本康行、写真も)