ジャカルタ、パレンバン、バンドン アジア大会3都市で インフラ整備の起爆剤に

 アジア・オリンピック評議会(OCA)は20日、韓国の仁川(インチョン)で総会を開き、次回の第18回アジア大会を2018年にジャカルタなどインドネシアの3都市で開くと正式に決定した。インドネシアでの開催は1962年の第4回大会以来2度目。インフラやスポーツ施設の整備の起爆剤になることが期待される一方、開催費用の不安もちらつく。            (田村隼哉)
 ロイ・スルヨ青年スポーツ相は21日、3都市はジャカルタ特別州、南スマトラ州パレンバン市、西ジャワ州バンドン市と地元メディアに発表した。3都市はOCAと、開会式を中央ジャカルタのブンカルノ競技場で、閉会式をパレンバン市のジャカバリン競技場で開くことなどを盛り込んだ覚書を交わした。ジャカルタとパレンバンでは昨年、東南アジア選手権大会も開かれた。
 開催の決定を受け、インドネシア・オリンピック委員会(KOI)のリタ・スボウォ委員長は「開催は我が国にとって誇りであるとともに挑戦でもある」とし、「ドーピングも八百長もない大会を目指し、経済成長にも貢献したい」と抱負を語った。同委員長は来年3月までに実行委員会を発足させる方針だ。ジャカルタ特別州のアホック副知事も「インドネシアの発展ぶりを披露しよう。(前回の)62年と現在とではまるで変わった」と意欲を見せた。
 ジャカルタでは8万人を収容可能なBMW競技場(北ジャカルタ・タンジュンプリオク)が今年着工したほか、62年の大会に合わせ建設されたブンカルノ競技場の改修が計画されている。アホック副知事は建設中の大量高速鉄道(MRT)やモノレールの運用を2017年にも開始させたい考えだ。南スマトラ州のアレックス・ヌルディン知事はパレンバン市内の競技施設付近に選手村を新設する計画を表明している。
 OCAは当初、平昌(ピョンチャン、韓国)冬季五輪の18年や東京夏季五輪の20年を避け、中間の19年に開催する予定だったが、次回の大統領選挙が同じ年になるインドネシア側の要望で、1年前倒しして18年の開催を決めた。

■財政圧迫の懸念も
 一方で、アジア大会は近年、大会規模の肥大化などの問題が指摘されている。現在、第17回大会が開かれている韓国の仁川市には45の国と地域から約1万3千人の選手団が訪れ、36競技439種目でメダルが争われている。競技数は過去最多となった中国・広州大会(10年)の42競技から6競技を除外したものの、夏季五輪の26競技よりも多い。
 規模が拡大すれば費用も膨らむ。広州大会では20億ドルが投じられ、今大会では会場建設費や運営費など計2兆2千億〜3千億ウォン(約21億〜22億ドル)が仁川市の財政を圧迫していると報じられている。
 第18回大会もハノイに決まったが、今年4月にベトナム政府が財政上の理由で辞退していた。1兆5千億ドルの運営費や競技場の新設費用が重荷になったとみられる。
 国内での開催を不安視する声に対し、リタKOI委員長は「OCAの現地調査を2回受けるなど、準備は整っている」と楽観的な見方を示した。

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