「へブリング」に準大賞 アニメ番組の人気ヒーロー アセアン・キャラクター大賞
日本アセアンセンター(東京都港区新橋)は20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国で製作された良質のキャラクター作品に贈る「アセアン・キャラクター大賞」の第1回授賞式を千葉市の幕張メッセで開き、準大賞と審査員特別賞にインドネシアの2社の作品が選ばれた。大賞はタイのキャラクターが受賞した。アセアン諸国のコンテンツ産業の連携促進が目的で、授賞式に合わせてビジネスマッチングも実施した。
準大賞作品は、インドネシアのアニメ番組で人気を集めているヒーローキャラクター「ヘブリング(Hebring)」。すでに国内外での受賞経験もあり、今後グローバルな展開にも有望と評価された。製作したマイン・ストゥディオ社のマリン・スガマ代表は「夫が昔スーパーマンに憧れており、そこからヒントを得た。夫と関係者の協力に感謝する。今後、日本企業とタイアップする予定で海外展開のノウハウを学びたい」と話した。
審査員特別賞はゲームやコミック作品に登場する男女コンビ「サリム&シルミ(Salim&Slimy)」。ムスリムを模したキャラクターで、ムスリム向けモバイル用アプリで使用されるなど今後の市場拡大にポテンシャルがあることが評価された。製作したマザヤ・アサレン社のロヤス・アムリ・ベスティアン氏は、「受賞をきっかけとして国外でのビジネスも視野に入れたい」と抱負を語った。
審査委員長の品田英雄氏(日経BP社・日経エンタテインメント!編集委員)は「ヘブリングはインドネシアのイメージを覆す斬新さがある。サリム&シルミはイスラム圏に対する親しみを持たせる」とそれぞれ講評した。
キャラクター大賞は日・アセアンのコンテンツ産業の交流を目的として日本アセアンセンターが今年設立。同センターの石毛宏子・広報官は「各国からゲームやアニメ分野での協業促進を求める声が出ていたため2010年に政府やゲーム業界関係者との意見交換を始め、昨年、B2Bのマッチングサイト『アセアン・クリエイティブ・ネットワーク』を開設してウェブ上で情報交換ができる仕組みを整えた」と経過を説明した。「ただ、ウェブ上でのマッチングでは限界があり、今回のアワード授賞を仕掛けにし日本とアセアン関係者らが一堂に会する機会を作った」と話した。
授賞式終了後のビジネスマッチングにはアセアン諸国のコンテンツ関連企業約50社(うちインドネシアから5社)と日本企業約40社が参加した。(斎藤麻侑子、写真も)
◇ アセアン・キャラクター大賞 日本アセアンセンターが運営するASEANクリエイティブ・ネットワークに登録する企業を対象に5月から7月まで募集。応募があった33作品を、アニメ・ゲーム・キャラクターに精通する6名が五つの審査基準に基づき点数化して、各賞を選んだ。大賞はタイのブラッディ・ブニー(BLOODY BUNNY)が受賞。