内原氏に外務大臣表彰 労使問題共有を主導 産業別懇談会長
外務省は産業別懇談会を通して労務管理や労使紛争などで情報共有を主導して、問題解決に尽力したとして同会長の内原正司氏(73)=住友グローバル・ロジスティクス・アシスタント・プレシデント・ダイレクター=に外務大臣表彰を授与し、8日、在インドネシア日本大使館が授与式を開いた。
産業別懇談会は1983年に東レなど7社が集まって発足。現在は会員が54社になり、月に1度の定例会合で労使など企業の個別の問題を取り上げ、解決方法を話し合うなどしている。
内原さんは「発足当初は異文化によるギャップや社会環境の不安定なこともあり、労務問題で苦慮した」と振り返る。「仕事で決断、実行したことが正しかったのかどうかの再確認」「(問題解決に)もっといい知恵がないか」などを話し合い、経験を蓄積した。
労使問題は各企業にとってセンシティブな問題であまり表に出したくないもの。同会では各企業が問題を隠さず開示、対策を話し合ったことが、多くの問題解決につながったという。
内原さんは2000年に会長に就任。現在の労使関係は「強権なスハルト政権に押さえつけられていた揺り戻しが来ており、労組はやりすぎ」と指摘する。最近の活動はいかに企業側の被害を少なくするかに焦点を当てている。
近年労使紛争が激化する最低賃金に関しては、「緩やかに上げることが、一番インドネシアの発展につながる」と話した。(堀之内健史、写真も)
【プロフィル】 うちはら・まさし 1941年2月28日生まれ。大阪市出身、日商岩井を経て69年住友商事入社。75年〜81年までインドネシア・アサハン・アルミニウム(イナルム)に出向するなど住友商事のインドネシア関連会社で経営に携わる。03年退社。08年から現職。