「残念だが仕方ない」 日イ市民友好フェス中止 デング余波 代々木公園

 日本で最大のインドネシア関連イベントがデング熱感染の余波を受け、中止となった。6日から東京・渋谷の都立代々木公園で開催予定だった「日本インドネシア市民友好フェスティバル」。「まさかこんなことになるとは」と関係者は思わぬ事態に肩を落とした。                                  
 イベントは6、7日代々木公園のB地区で開催予定だった。インドネシア料理店のブースが並びバリやスマトラ舞踊の公演も予定していた。2008年から始まり今年で6回目。外務省、東京都、在日本インドネシア大使館も後援する。来場者の約7割がインドネシア人で日本人にもインドネシアを知る場として認知されていた。今年10万人余りの来場者を見込んでいたが、先月27日以降、同公園内でのデング熱感染報道によって状況が一変した。
 「(イベントを)やるかやらないか、ぎりぎりまで迷った。4日東京都が発表した『代々木公園封鎖』報道で中止を決めた」と事務局のNPO法人CPI教育文化交流推進委員会会長の小西菊文さん(65)は話す。
 封鎖は公園北側で面積の約8割を占めるA地区で、会場の南側B地区は対象ではない(5日現在)。しかし、報道で多くの人が代々木公園全体の封鎖と受け止める可能性があった。開催の決定は主催者に委ねられている。「開いても集客自体が難しくなるだろうし、安全面を考慮すると中止にせざるを得なかった」と小西さん。関係者と連絡を取り4日夕中止を決断、午後8時公式HPで発表した。
 「デング熱のニュースが出てからインドネシア人のお客さんから『大丈夫か』と心配された」。ブースを出す予定だった東京・目黒のインドネシア料理店「CABE目黒通リ店」の女性店長はいう。ナシゴレン、サテ、ミーバッソなどを500円で販売する予定だった。昨年はラマダン(断食月)とイベントが重なったため出店を見送った。「日本人の方にもインドネシア料理を体験してもらえる良いチャンスだった。残念です」。イベント用に仕込んだ食材は、6日営業しフェスティバルメニューとして販売する。
 ハラル食品専門商社として知られる東京・渋谷の二宮は飲食と物販ブースを出す予定だった。ナシゴレンの素やサンバル、ケチャップマニスなどの調味料からミーゴレンなどインスタント食品まで約50種の商品の販売を予定していた。「インドネシアの方には安心して使える物を勧められ、日本人にもハラルの意味を知ってもらえる機会だったが、安全面を考えれば仕方ない」と社長の二宮伸介さんは話す。
 同イベントは次回、来年10月17、18日に開催の予定と公式HP上で発表した。小西さんは安心して開ける体制を作ってほしいとし、「日本で情報が少ないデング熱の医療知識の交換もインドネシア側と行ってほしい」と話した。(阿部敬一)

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