客家博物館が開館 建国での役割再認識 タマンミニ
インドネシア建国に貢献した客家(はっか)系華人の業績や文化を紹介する「インドネシア客家博物館」が先週、東ジャカルタのテーマパーク「タマンミニ」内に開館した。
華人系インドネシア人の4割は、中国東北部で独自の文化を発展させてきた漢族の一つ、客家の子孫といわれる。同博物館は、一般的に抱かれている「商売のみに専念する華人」とのイメージを変え、対オランダ抗戦など建国に献身してきた客家人の役割を理解してもらう狙い。
同博物館は3階建てで、1階では独立戦争でオランダ軍と戦ったジョン・リー海軍司令官など独立に貢献した客家人系インドネシア人をパネルで説明。近年ではバドミントン五輪金メダリストのスシ・スサンティ氏や現役で活躍中のマリ・パンゲストゥ観光創造経済相も紹介している。 2階では、インドネシアの華人全般に関する展示物を陳列し、3階では客家の文化や社会を紹介している。
地元メディアだけでなくシンガポールのストレーツ・タイムス紙も、世界の著名な客家人である同国のリー・シェンロン首相、父のリー・クアンユー元首相の業績も展示されているとして、同博物館の開館を報じた。
故スハルト2代大統領は中国の文化、思想、宗教活動を華人文化禁止令で規制し、客家人を含む華人を抑圧。同時に華人はビジネスだけに専念する「金儲けの民」という印象を国民に植え付けた。故ワヒド4代大統領が禁止令を事実上廃止した後も、その先入観は根強く残っている。
開館式に出席したユドヨノ大統領は「国内のあらゆる民族への差別は認められない」と強調し、客家人はインドネシアの国家に大きな役割を果たしてきたと謝意を示した。
博物館は、建国に貢献した初期世代の客家人を知らないいまの若い華人、非華人系インドネシア人を中心にアピールしていく方針。 博物館管理委員会のイワン・マハティルタ委員長は「スハルト政権で植え付けられた華人に対する負のイメージを払拭(ふっしょく)していきたい」と意気込む。(前山つよし)