経産省モデルに再編案 省庁スリム化で食い違い ジョコウィ氏とカラ氏
ジョコウィ次期大統領が主導する新政権構想の議論が過熱している。日本の経産省をモデルにした工業省と商業省の統合案や、国家開発計画庁(バペナス)や税務・税関機関を大統領直轄にする構想も浮上している。ジョコウィ氏の政権移行チームの省庁スリム化案に対し、副大統領経験者であるカラ次期副大統領が逆に非効率化を生むと難色を示すなど、調整は難航しそうだ。
政権移行チームのアンディ・ウィジャヤント氏は、閣僚数を現行の34人から27人へ削減する案を中心に協議していると説明。新設案が出ている食糧省については、同省の下に農業省と漁業省を統合する案を検討しているという。
教育文化省は、小中高校を管轄する初等・中等教育省を発足させ、大学や研究機関、産業の連携強化を図るために高等教育・研究省として分離させる考えを示している。
ジョコウィ氏主導の政権移行チームのスリム化案に対し、地元メディアはカラ氏が閣僚数維持を主張して反対していると報道している。同チーム発足当時、訪米中だったカラ氏に相談せず、ジョコウィ氏が一方的にメンバーを選出したなどとして、両者の間に不協和音が生じているとの見方もある。
政権移行チームが日本の経産省をモデルに工業省と商業省の統合案を提示したが、カラ氏はこれに異議を主張。日本の場合、輸出品の9割が工業製品で占められているため、統合で効率化を図れるが、インドネシアでは工業製品は25%に過ぎず、天然資源や農業の比率が高いため、日本の経産省を参照することはできないとしている。
カラ氏はグスドゥル政権で、工業省と商業省に分離される前の産業貿易相を務めたことがあり、「当時産業貿易省では7千人もの職員を抱え、とても管理できなかった」と話している。
カラ氏は複雑な諸問題を解決するためには現行の34人の閣僚が必要と強調。スリム化が必要なのは省庁の中間職「エセロン3」クラスであり、総局長・局長からの指令を末端に素早く届かせるための組織刷新を訴えている。
ジョコウィ氏は今月15日ごろまでに内閣の骨格を固め、閣僚候補の選定作業に入るとの方針を表明している。「専門家内閣」への政党出身者起用も検討し、強固な政治基盤を持つ新内閣づくりを進める意向だ。
一方で、カラ氏の所属政党で国会第2党のゴルカル党や、イスラム政党の開発統一党(PPP)などは連立政権への参加をめぐり内部で対立が続いている。(配島克彦)