ニッシンマスを子会社化 日清食品、国内事業強化 インドフードから株式買い取り
日清食品ホールディングスは20日、国内で即席麺の製造・販売を手がける関連会社「ニッシンマス」の株式を総合食品大手インドフード・サクセス・マクルムから買い増し、子会社化することを公表した。ニッシンマスはこれまで、日清とインドフードがともに49%の株式を持ち、共同で経営にあたっていた。日清は同社を子会社化することで、今後の国内事業展開の迅速化をはかる。
■自由な意思決定へ
投資調整庁(BKPM)の認可が下り次第、インドフードが保有する同社の全株式63億8千万ルピア(約5億5800万円)を取得する。買い増し後は株式総数の98%を保有することになる。日清広報担当によると、これまでニッシンマスでは意思決定が難しい場面もあったが、今回の買い増しで解消できるという。
インドフードとは今後も協力関係を維持していく方針で、日清広報は「(インドフードと)切磋琢磨し、今後広がる市場を拡大していきたい」と話した。また、日清の21日の株価は前日比130円高の6120円の終値を付け、年初来高値を更新。インドネシア国内事業強化に投資家から注目を集めた。
ニッシンマスは1992年設立。資本金は478億ルピア(約4億円)で、アジア地域の統括機能を持つ日清シンガポールと、インドフードがそれぞれ49%を保有していた。
■売上伸びず、売却へ
即席麺の世界シェアにおいて、日清食品は2位、インドフードは5位と、ともに世界を代表する企業。2013年のインドフードの決算報告によると、ニッシンマスの売上高は172億ルピア(約1億5700万円)でインドフード全体ではわずか0.03%にとどまっていた。
国内証券アナリストは、インドフードが今回、ニッシンマスの株式売却に踏み切った理由として、同社がインドフードの売上に貢献できなかったからと分析。
「(ニッシンマスの)即席麺は他のインドフード商品のように売上を伸ばしきれなかった」と話している。(佐藤拓也)