海事省、食糧省を検討 再編で内閣スリム化 政権移行チーム
ジョコウィ次期大統領の政権移行チームは効率的な政権運営を最優先課題とし、大規模な省庁再編を断行する方針だ。世界有数の海洋国家の基盤をつくる海事省、農業や漁業などを統括する食糧省、観光振興に特化する観光省などの新設も検討。既存省庁の統廃合で大臣数も37から27ほどまで減らし、副大臣ポストもほぼ廃止してスリム化を図る。
■大臣数は37から27へ
政権移行チーム副代表のアンディ・ウィジャヤント氏は19日、複数の選択肢を検討している段階と説明。省庁数の現状維持もあり得るが、既存省庁の廃止、統廃合、新しい省の設置を視野に入れていると話した。副大臣ポストは外務副大臣を除いて廃止する予定という。アンディ氏は再編で3・8兆ルピアの予算削減になると強調した。
同チームによると、新設を予定している省庁の一つが海事省。ジョコウィ氏はこれまで、政府のインフラ整備では陸運用の高速道路に偏っていたと批判。群島国家として海運を発展させるべきだとの持論を展開し、海運網の整備を掲げている。
スマトラ島からパプアまで北米大陸に匹敵する東西約5千キロメートルに広がる群島間の輸送網を大幅に強化し、物資供給や物価の安定化を図る。補正予算案では、海洋高速の核となる港湾整備の予算増額を優先させる考えだが、財源に予定する燃料補助金削減には抵抗も予想されるため、インフラ整備の予算確保は難航しそうだ。
食糧に関しては、農業、漁業、農園などを統括する食糧省の設置を検討している。現在、コメや小麦粉などの食糧供給を調整する国営企業の食糧調達公社(ブロッグ)があり、新機関の機能や権限について協議を進めている。
省庁分割再編の例としては、観光創造経済省を観光省と経済省に、教育文化省を教育省と文化省に分割するなどとした。
特に食糧やエネルギー分野ではマフィア撲滅に取り組む。ユドヨノ政権末期の一連の汚職事件で石油燃料をはじめ、牛肉やコメなどの輸入に絡み、マフィアや政治家、政府高官ら関係者の癒着が明るみに出た。ジョコウィ氏は対策として「省内の監視強化」を挙げている。
また政権移行チームは、政権発足後の優先施策として保険・教育プログラムの導入、浪費と批判されてきた政府高官の視察の厳格化、税務機関新設による税収入引き上げなどを掲げている。(配島克彦)