歳出、初の2000兆ルピア超え ユドヨノ大統領 2015年国家予算案を発表
ユドヨノ大統領は15日、2015年の国家予算案を国会に提出した。歳出総額は初めて2千兆ルピアを超え、歳入では税収を14年予算比1割増とした。演説の冒頭で持続的な経済成長と格差是正に力を入れると話し、7省庁に重点配分した。次期大統領は就任後に組み替えや肉付けするとみられる。
■新大統領、就任後修正へ
歳出総額は2019兆9千億ルピア。中央政府への割り当てが1379兆9千億ルピア、地方政府へ640兆ルピアを振り分ける。14年予算比1割増で、初めて2千兆ルピアを超えた。 歳入総額は1762兆3千億ルピア。税収が1370兆8千億ルピアで、税外収入が388兆ルピア。14年の補正予算と比べ税収部分を1割増加する。
歳出から歳入を引いた財政赤字は257兆6千億ルピアで対実質国内総生産(GDP)比で2.32%を維持する。
各省庁への予算配分は7省庁が40兆ルピアを超えた。教育文化省、宗教省、保健省など。教育や社会保障、国防、インフラ建設重視がうかがえた。教育とその関連分野で14年予算比29兆ルピア増の404兆ルピアを配分。歳出全体の2割を占める。憲法改正で定められた配分比率を維持した。
フィルマンザ大統領補佐官は、「今回の予算案はジョコウィ氏の意向は入っていない」と話し、ユドヨノ大統領も予算演説で「あくまでベースライン。新大統領の意向もくみ入れてほしい」と話した。(佐藤拓也)
■2期10年の成果強調 ユドヨノ氏国家演説
ユドヨノ大統領は15日、国会で最後の国家演説(施政方針演説)を行った。2期10年、民主主義の発展や経済成長で成果があったと総括し、「独立の父たちは21世紀にふさわしい国家となったインドネシアの姿を見て、喜んでいるだろう」と述べた。
ユドヨノ氏は史上初の直接選挙で選ばれた大統領。スハルト政権崩壊後、民主的な総選挙が4回あったことを評価し、全ての地方自治体の首長や議会選挙が実施されたことを指摘、「文化的、政治的な力学が変わった」と述べた。
7月の大統領選については、落選候補による憲法裁への異議申し立てが続いている現状を踏まえ、「平和的で憲法の規定に則ったものであり続けるよう、皆でこの選挙を守ろう。この選挙は単なるエリート同士の争いではない」と呼びかけ、混乱の発生を警戒した。
経済面では、政権2期目の09年から13年までのGDP成長率が平均で5.9%と、高成長を維持したと説明。今年上半期は5.2%まで低下したが、それでも主要国の中では中国に次ぐ成長率を維持していると強調した。生活必需品を手に入れるのに必要な最低限の収入を示す貧困線以下で生活する国民は、09年に3200万人いたが、今年3月の時点で2800万人まで減少したことも大きな成果とした。
一方、国内でも支持する動きが広がっているスンニ派過激組織「イスラム国」については「我々のアイデンティティを脅かすものだ」と指摘し、「イスラムと民主主義、近代化は両立して繁栄することができる」と強調した。(道下健弘)