次期政権と協力加速へ 岸田外相がジョコウィ氏と会談 海洋、インフラ安全保障分野
インドネシアを訪問中の岸田文雄外相は12日、大統領選で当選したジャカルタ特別州のジョコウィ知事と中央ジャカルタの州庁舎で会談した。次期政権との連携のあり方を協議し、海洋や安全保障などの分野で協力を加速させることで一致した。当選確定後の早い時期に来イすることで、同国との関係を重視する姿勢を印象付けた。
約30分間の会談で岸田氏は、海洋国家として発展を目指すとするジョコウィ氏の方針に触れ、「海洋分野の協力には大きな可能性がある」と指摘。港湾インフラの整備や海上保安能力の向上、漁業振興といった分野で協力する考えを伝えた。ジョコウィ氏は港湾整備や違法操業の取り締まり能力強化に意欲を見せた。中国の海洋進出を念頭に、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国との同分野での連携を深めたい日本にとって、関係強化をアピールする機会となった。
安全保障分野について岸田氏は、地域の平和と安定のためにインドネシアが果たしてきたリーダーシップを評価。安倍政権が掲げる「積極的平和主義」の立場から、日本も貢献していくとの考えを説明すると、ジョコウィ氏も安全保障分野に積極関与していくとし、両国の連携が重要との認識で一致した。
経済分野で岸田氏は、ビジネス・投資環境の整備や国内産業の高度化、人材育成で協力する考えを伝えた。ジョコウィ氏はインフラ整備の重要性を指摘し、日本からの支援に期待を表明。「日イ両国は半世紀以上にわたる長いパートナーシップ関係があり、強化したい」と意欲を示した。
■早期の訪日を要請
総選挙委員会(KPU)が先月22日に大統領選の開票結果を発表して以降、ジョコウィ氏と会談した外相はカナダのベアード氏に次ぐ2人目。岸田氏は会談冒頭、当選を祝福する安倍首相からの親書を手渡し、早期の訪日を要請した。ジョコウィ氏も応じる考えを示した。
岸田氏は会談後、記者団に「(大きな存在感を示しているインドネシアの)リーダーが10年ぶりに変わり、世界中の注目が集まっている。いち早く協力の基本的な方向性を確認することは重要だ」と、会談の意義を強調した。
岸田氏はその後、マルティ外相とも会談。インドネシアが国内産業の育成を目的に実施した未加工鉱石の禁輸措置などを懸案事項として挙げ「互いの事情や利益を尊重しつつ、互恵関係全体を踏まえ解決したい」と伝えると、マルティ氏も同調した。
岸田氏はさらに、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を説明した。ASEAN加盟国の一部と中国が対立する南シナ海問題では、日本はASEANが一体となり問題に取り組むことを支援すると伝えた。(道下健弘)