快適な礼拝環境を整備 モールへの来客獲得で デザイン、サービス重視
ジャカルタ首都圏に乱立する大型ショッピングモールが買い物客の獲得競争を繰り広げている。そんな中、各モールはサービスが豊富で清潔なムスリム用礼拝施設の整備に力を入れる。1日5回礼拝するムスリムにとって快適な礼拝環境は買い物などの際のモール選びの重要な要素となるようだ。
中央ジャカルタにある大型ショッピングモール「プラザ・インドネシア」3階にある男女別の礼拝施設。礼拝時刻には大勢のムスリム買い物客が詰め掛け、礼拝の順番を待つ長蛇の列ができる。
礼拝者は、靴や買い物袋、貴重品などをカウンターに預けることで安心して礼拝することが可能。さらに聖典「コーラン」、ムクナ(女性用の礼拝服)やサロン(腰巻き)の無料貸し出しサービスがあり、好評という。
買い物客の男性ソリアンさん(30)は、レバラン(断食月明け大祭)時期に設置されていた相談所で、説法師と話せた点が良かったと指摘し、「レバラン時期は信仰心を高めるため、ムスリムの教えを深める場所が欲しかった」と満足した様子だ。
ほかにも、中央ジャカルタの「グランド・インドネシア」の地下にある礼拝施設は収容能力が高く、男女合わせ最大で約500人以上が同時に礼拝することが可能だ。買い物客で混雑する週末は特に礼拝者が多いという。
西ジャワ州ブカシ市内にある「グランド・メトロポリタンモール」では、地下駐車場近くに約700人以上を収容可能な礼拝施設を設置した。家族連れの買い物客が帰宅間際に礼拝する場合が多く、待合スペースの場所まで確保している。
同モールで働く女性従業員デシーさん(22)は清潔なモスクが礼拝者に好まれると指摘し、「常に礼拝施設内の清掃を欠かさない。ゴミが落ちていたら拾うという基本的なことを徹底している」と話す。
■メッカの方角に滝
西ジャワ州バンドン市にある「チハンプラス・ウォーク」の礼拝施設はムスリムの聖地メッカを示す方角に滝を設置した。収容人数は小さいが、水の音を聞きながら礼拝できるとして口コミで評判が広がっている。
この施設を頻繁に利用するという女性客のスリさん(31)は「市内のモールの中でも礼拝施設のデザインと雰囲気が気に入っている」と評価した。(小塩航大、写真も)