レバラン平穏に祝う ジョコウィ氏も帰省 2億人のムスリム

 1カ月にわたるラマダン(断食月)が終わり、インドネシアの9割を占める約2億人のムスリムは28日、レバラン(断食月明け大祭=イドゥル・フィトリ)を迎えた。3千万人が帰省し、故郷の親族や近隣住民らに日頃の非礼をわびるあいさつを交わした。日が沈むと街の各所で花火が上がり、ラマダン明けを盛大に祝った。 

 27日午後6時ごろ、モスクから断食最終日を告げるアザーンが響き、約1カ月間にわたる断食を終えた。午後9時過ぎ、中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)周辺とタナアバンなどで花火が上がり、マス・マンシュール通りには陸橋などで見物する人でごった返した。
 独立記念塔(モナス)広場前とホテル・インドネシア(HI)前のロータリーを結ぶタムリン通りにも28日午前0時に近づくにつれ、人々が集まりにぎわいを見せた。
 レバラン休暇を行楽地で過ごす人も多い。避暑地として有名なボゴール県プンチャック峠では別荘の利用料金が値上がりしている。プンチャックでは通常1泊約50万ルピアの宿泊料が2倍の同100万ルピアになった別荘もある。
 ジャカルタ北沖に点在するプラウスリブ諸島には外国人観光客や華人らが押し掛けた。プラウスリブ県の県都プラムカでは、バンテン州タンゲランに工場を持つ韓国人実業家がインドネシア人従業員約50人と訪れていた。毎年レバランになると来るという。
 民宿経営のウィウィットさんは「団体で訪れる日本人も増えている」と話す。パリ島のプラワン海岸には日本人の家族連れの姿も。昨年、同海岸整備のお披露目式にジョコウィ知事が出席したという。
 南ジャカルタのラグナン動物園では29日の来園者数が過去最大の12万1820人となり、昨年の2倍以上の観光客でにぎわっている。同園のバンバン・ワヒュディ広報担当は「来園者は多くが家族連れ。子どもとはぐれないよう注意してほしい」と話した。警視庁は同園に600人の警察官を派遣したという。
 レバランはムスリムにとって最も重要な祝祭。家族と共に過ごすために故郷へ帰る人が多く、交通機関が混乱する。29日、帰省もピークに達し、西ジャワ州ボゴール県チアウィではジャカルタからボゴールに向かう道路で4キロの渋滞が発生した。同州西バンドン県レンバンでも29日の午後5時ごろに渋滞のピークを迎え、1時間に1500台の車両と2千台のオートバイが往来。警察によると昨年より10%ほどオートバイ利用者が多いという。
 ジョコウィ次期大統領は中央ジャカルタのイスティクラル・モスクで州職員ら400人と断食最終日の祈りを捧げた。モスクにはジョコウィ氏の支持者が当選を祝福し、断食明けの喜びを分かち合った。
 ジョコウィ氏は29日、中部ジャワ州ソロの自宅へ帰省し、妻や親族らとレバランを共にした。(西村百合恵)

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