ラマダン特需が12%増 「実質消費は変わらず」 経営者協会

 経営者協会(アピンド)によると、今年のラマダン(断食月)・レバラン(断食月明け大祭)期間中の小売業界全体の売上は前年同期比12%ほど増加して、14兆ルピアになる見込みだ。アピンドは通貨安による輸入品値上がりで実質的な消費はそれほど伸びていないとみている。

 ラマダン・レバラン期間は1年で最も消費が活発になる時期。
 「売上は増えているが、実際には購買量はそれほど増えていない」。アピンド幹部のトゥトゥム・ラハンタ氏はこのほど、経済紙ビスニス・インドネシアに対し、ルピア安が影響し、原料など輸入に頼る製品の価格を押し上げた結果、名目の小売りの売上は増えたが、実質的な購買量は変化していないとの見解を示した。
 それでも期間中は一部の製品で飛躍的に売上が増加。同氏によると、衣服の売上高は2〜3倍、食料品は3〜5割増える。スナックやソフトドリンクに限れば4〜5倍になる見込みだ。携帯電話など電化製品も伸びる傾向にあるという。
 今年はサッカーワールドカップやジャカルタ生誕記念のセール、学校の長期休暇、大統領選が重なったことも、売上を押し上げた。
 ショッピングセンター運営者協会のハンダカ・サントサ会長によると、毎年1カ月半にわたり首都圏のモールで大幅な割引を実施する。ジャカルタ生誕にちなんだジャカルタ・グレート・セール(6月7日〜7月19日)の今年の売上高は前年比10%増となった。15%増を目指していたが、「経済成長の鈍化が影響した」という。
 ただ、これからのレバランに向け、各業者の販促活動により、さらに売上が増える可能性があると指摘した。
 金利の上昇が個人消費に影響を与えるとの見方があったが、クレジットカード協会(AKKI)のスティーブ・マルタ・ゼネラル・マネージャーは「金利上昇は、レバランに向けた個人消費の障害にはなっていない」と話した。
 AKKIによると、クレジットカードでの取引額は期間中、普段より10〜15%伸びる見通しだ。

■JKT48とブカプアサ 日系各社、ラマダンプロモ
 日系各社も消費が増えるラマダン中は販促に趣向をこらす。
 アイドルグループJKT48をイメージキャラクターに起用するローソンはこのほど、同グループがパーソナリティーを務めるラジオ番組「JKT48ラジオ」の初回をサレンバテンガ店で公開生放送した。
 午後5時〜同6時の放送で、午後6時から始まるブカプアサ(断食明け)の食事に合わせ、JKTメンバーが150人ほどのファンや購入者と一緒にブカプアサを祝い、来客を促した。ローソンでは、ラマダン(断食月)期間中に菓子の詰め合わせや濃縮ジュースが売れ行きがよいという。
 飲食店は断食中の昼間の売上を取り戻すため、夜メニューに力を入れる。
 中央ジャカルタでのオフィスビル「ザ・プラザ」で、高級居酒屋「炎丸」はラマダン中の鳥メニューを中心とした特別コースを用意。インドネシア人の家族や同僚同士のグループの注文が多いという。
 「昼間は3分の1ほど減少するが、その分、夜は増えて、トータルの売上はそれほど変わらない」(炎丸総支配人)。
 車で帰省する人が多い中、トヨタやホンダ、日産など自動車各社はディーラーや特設のサービスセンターでのサービスを充実させ、顧客の満足を高める機会にしている。
 トヨタ・アストラ・モーターは帰省がピークを迎える前の6月23日から今月12日まで修理や部品の最大30%の割引を実施。10万キロメートル以上走行している自動車に対する修理代金は25%割引。10万キロメートル未満は15%割引と、帰省客向けのサービスを強化。修理店舗は混雑するため予約客にはさらに割引を実施するなどして対応した。昨年は利用者が22万5千人で前年より15.4%増えた。今年も利用客は多く、好評だったという。
 ホンダ・プロスペクト・モーターは帰省のピーク期間中、全国65カ所のディーラーと15カ所の特設サービスセンターで整備や修理を受け付ける。通信大手テレコムセルと協力し、「5050」にかければ、ホンダのコールセンターにつながるようにしたほか、アプリを使って最寄りのサービスセンターが分かるようにした。(堀之内健史)

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