警備強化も混乱なし 厳戒態勢はKPU前のみ プアサや帰省も影響

 総選挙委員会(KPU)が大統領選の集計結果を発表した22日、中央ジャカルタのKPU周辺は道路が閉鎖されるなど厳戒態勢が敷かれた。だが予告された抗議活動も100人ほどの小規模なもので、大きな混乱はなかった。

 中央ジャカルタ・イマムボンジョル通りのKPU本部周辺では道路が封鎖され、警視庁や国家警察などからなる警備隊約3400人が配備された。装甲車や自動小銃を装備した警察官の姿が多く見られ、周囲は物々しい雰囲気に包まれた。KPUには総選挙の投票日前日も身分証を提示すれば入れたが、この日は会見が行われている会議室に入るまでに二重の所持品検査を求められるなど、警戒度の高さがうかがえた。
 ブカプアサ(1日の断食明け)を迎えて雰囲気が和む一幕もあった。午後4時に予定されていた集計結果の正式発表が大幅に遅れ、同5時50分ごろにようやく在外投票の集計を終えるとブカプアサのために手続きを中断。メディア関係者、警備にあたっていた警察官も用意された食事や飲み物を手に一息ついた。
 ホテルインドネシア前ロータリーでは午後4時ごろから、プラボウォ陣営の労働組合総連合(KSPI)が100人前後の労働者を動員。総選挙監視庁に対して不正行為の調査や再投票の実施、選挙結果の公式発表延期などを要求した。
 連日、午後4時前後に大渋滞に見舞われる同ロータリーだが、この日は抗議活動も通行の妨げにはならなかった。ブカプアサの食事を自宅で取ろうと早めに仕事を切り上げて帰宅した人や、すでにレバラン(断食明け大祭)休暇に入っている人が多かった影響も大きかったとみられる。
 ジョコウィ氏の知事公邸に面するスロパティ公園でも午後1時半ごろに学生らによる同様の抗議活動があったが、100人前後の小規模のものだった。
 1998年5月暴動の被害に遭った西ジャカルタの電気街グロドックでは、プラボウォ氏が公式結果を認めないと発表したのを受け、午後4時ごろまでに閉店する店が相次いだ。南ジャカルタのクニンガンやスマンギ周辺では午後3時ごろには早めに帰宅する車で渋滞が発生した。
 市民には「自分にとって公式発表は直接関係ない」(中央ジャカルタで勤務するファウジさん=28歳)と、過熱する大統領選から距離を置く人も少なくない。また、大統領選撤退を宣言したプラボウォ氏に対しては「戦うなら最後までやってほしかった」(インタンさん=35歳)と落胆する声も聞かれた。(田村隼哉、写真も)

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