マレーシア航空機撃墜 298人全員死亡と現地政府 インドネシア人12人搭乗 ウクライナ東部
17日午後9時15分(西部インドネシア時間)ごろ、ウクライナ東部のドネツク州上空を飛行中のアムステルダム発クアラルンプール行きマレーシア航空のボーイング777型機が消息を絶った。ウクライナ政府は同機が地対空ミサイルにより撃墜され、インドネシア人12人を含む乗客283人と乗員15人全員が死亡したと発表した。米国政府もミサイル攻撃が原因と断定した。
現場はロシア国境から約50キロの地点で、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力との戦闘が続いている地域。ウクライナのクリムキン外相は声明で、高度1万メートルを飛行中のマレーシア航空機にロシア製地対空ミサイルが命中したと説明し、同政府は同機を撃墜できる射程を持つミサイルを配備していないと述べた。ポロシェンコ大統領も「われわれは事故や災害と呼ばずにテロ行為と呼ぶ」して、親ロシア派による攻撃との見方を示唆した。
米CNNが米国当局者の話として報じたところによると、直前に付近の地対空ミサイルが起動してマレーシア航空機を補足したことや命中に伴う熱源を、米国のレーダーシステムが感知したという。
これに対し、親ロシア派「ドネツク人民共和国」の指導者は関与を否定し、ロシア政府も同じく否定している。
マレーシア航空によると、墜落機はアムステルダムを17日午後5時15分(西部インドネシア時間)に出発したMH17便。18日午前5時10分(同)に到着予定だった。インドネシア人のほかの乗客はオランダ人154人、マレーシア人28人、オーストラリア人27人、英国人9人、ドイツとベルギー人がそれぞれ4人、フィリピン人3人、カナダ人1人。残り41人の国籍は分かっていない。乗員はいずれもマレーシア人。
同航空によると、墜落当時、同機から救難信号の発信はなかった。ウクライナ東部の飛行については国際民間航空機関(ICAO)が安全と宣言し、国際航空運送協会(IATA)も制限していなかったと説明している。同航空は事件を受け、ヨーロッパ発着便がウクライナ東部を通らないよう、該当便全ての飛行ルートを変更した。
マレーシアのナジブ首相は18日未明に発表した声明で「もし撃墜の事実が明らかになれば、犯人は速やかに裁きにかけられなければならない」と強調した。ポロシェンコ大統領と電話会談し、マレーシア当局も参加した上での調査を約束したという。オバマ米大統領との電話会談では、国際的な調査機関が現場に制限なく立ち入れることが必要だとの認識で一致した。
インドネシアのユドヨノ大統領も同日午前に会見し、「ミサイル攻撃だとすれば国際法と戦時国際法違反に当たる」と述べた。(道下健弘、写真も)