データ開示拒否で除籍 大統領選 「プラボウォ優位」の2機関 イ調査協、透明性を重視
9日の大統領選で民間調査機関による開票速報の結果が割れたことに関して、インドネシア世論調査協会(PERSEPI)は16日、集計データの開示を拒否したJSIとプスカプタスの2調査機関を協会から除籍した。2機関はプラボウォ氏が過半数獲得の速報結果を発表していた。協会は速報の透明・信頼性を重視した。
協会の指示に対し、JSIは集計データを提出せず、協会からの脱退を申し出ていた。プスカプタスはデータの開示を拒否。このため協会の倫理委員会は2機関とも脱退ではなく除籍処分とした。
倫理委のハリ・ウィジャヤント委員長は「総選挙委員会(KPU)が22日に発表する公式集計結果と一致することが重要ではなく、データ開示を拒んだことが問題だ」と説明、「速報プロセスの透明性が低く、(協会として)信頼性を保持できない」と強調した。
2機関の処遇に関しては、KPUに開票速報を公表する調査機関の認可を取り消すよう求める書簡を送った。ハリ委員長は、開票速報を取り扱う調査機関の国家基準を策定すべきだとも提言している。
協会は投票日翌日の10日、プラボウォ氏が過半数獲得と公表した2調査機関の速報結果は疑問だとの見解を示し、これら機関にデータ開示を求める声明を発表。協会内に独立調査委員会も設置し、加盟9機関の集計方法を調べた。ジョコウィ氏の過半数獲得を公表したCSISやSMRCなど7機関は、協会の規定基準を満たしており、速報データは妥当だと判断した。
協会によると7機関と除籍処分とした2機関では、集計規模が大きく異なる。7機関の一つポプリは全国33州の投票所2千カ所で出口調査を行い、調査員2200人を動員した。SMRCは4千カ所で調査した。
一方、プスカプタスが調査対象とした投票所は1250カ所で、調査員数は625人だった。プスカプタスのフシン代表は速報の誤差は1%だけだと自信を見せるが、「KPUによる集計の公式発表とかけ離れている場合も懸念したため、協会にはデータ開示しなかった」と弁明している。
2機関の速報結果に疑問を呈した協会に対し、プラボウォ氏は「協会の大半の調査機関による結果の方が偽物だ。全ては22日の公式集計発表で明らかになる」と反論した。
JSIとプスカプタスの速報結果は9日、プラボウォ氏を支援するバクリー・ゴルカル党党首の所有するTVワンが大きく報じた。JSIはプラボウォ組の得票率を50.13%、プスカプタスは52.05%と発表。一方、CSISはジョコウィ組が51.90%、SMRCは52.97%としている。(小塩航大)