墓地住民とブカプアサ 子ども支援の井上さんら
路上生活を送る子どもを支援している非政府組織(NGO)「ファクタ」に所属する修道女・井上千寿代さん(72)が17日、東ジャカルタ区ジャティヌガラのクボン・ナナスで墓地に家を建てて暮らしている住民らとブカプアサ(断食明け)を祝った。
井上さんが開いたブカプアサには、鹿取恵津子駐インドネシア日本大使夫人の呼びかけで、4人の夫人らが集まり、トヨタの現地製造法人トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシアの野波雅裕社長も参加した。
住民らは井上さんらから食事を受け取り、集まった約100人の子どもたちには恵津子夫人から菓子や文房具が贈られた。専門学校に通っているというテナスさんは子どもを代表して感謝の意を述べた。住民らは自宅に戻り家族と食事を楽しんだ。
また、食事が配られた後に日本からファクタに寄贈された移動図書館が披露された。約千冊の本を積み、ジャカルタ内の貧困地域を回る。子どもたちのために本を届けるという。
クボン・ナナスの墓地には約80世帯300人が暮らす。井上さんは「貧しい人のために自分にできることをやりたい」と話し、子どもたち一人一人に声をかける。
1991年にカトリックの女子修道会・聖心会から派遣され、20年以上ジャカルタの貧困地域の住民やストリートチルドレンを支援してきた。住民からは「おばあちゃん」と親しまれている。 (西村百合恵、写真も)