大統領選、市場は好感 イ証取上場500社突破 集計発表後、上昇予測も
大統領選後のジョコウィ、プラボウォ両陣営による情報戦や多数派工作が活発化するなか、インドネシア証券取引所(IDX)が活況を示している。先週には上場企業数が初めて500社を突破。さらに増えそうだ。総合株価指数(IHSG)は投票の9日以降36ポイント上昇。総選挙委員会(KPU)による22日の集計発表後も、株価は上がり続け過去最高(昨年年央)の更新もあり得るとの見方も強まっている。
IDXでは先週、鉱業のミトラバ・アディプルダナ、不動産開発のシタラ・プロペルティンド、ディナール・インドネシア銀行の3社が新規株式公開(IPO)を実施した。これにより上場企業数は502社となり、今年はさらにタクシー大手のブルーバードなどのIPOが見込まれている。
今年の新規上場の目標は30社。現在までに既に18社が上場しており、達成は確実視される。
ただ上場企業数は、隣国シンガポールの約700社、マレーシアの約900社と比べ依然大きな差があり、IDXは今後も勧誘に力を入れる方針。
IHSGは今月3日の4888.74から上昇基調で、16日は5113.93に達した。
IDXのホーセン取締役(企業評価担当)は、以前取り沙汰された総選挙と大統領選に伴う経済低迷の懸念は払拭されたと指摘。市場は大統領選が平和裏に行われたと評価し、投資の好機と捉えていると評した。
さらに資本市場は現在、安定した投資状況を望んでおり「開票速報でどちらの陣営が優勢かは問題ではなく、選挙戦後の安定が最も重要だ」と付け加えた。
IPOでは、公募に対し申し込みが上回る状態が続いている。証券アナリストは、大統領選を好材料とするほか、多数のIPO企業がワラント(新株予約権)も発行していることが新株需要の呼び水になっていると指摘する。
13年の株式売買代金の内訳は金融が19.1%でトップ。次いで貿易関連18.2%、インフラや物流16.2%、不動産業15.5%だった。今年は特にインフラ・建設株が買われいる。ジョコウィ氏、プラボウォ氏ともインフラ改善を重視しており、どちらが当選しても経済政策に大きな差はないと市場は捉えている。
アスジャヤ・インドスルヤ証券のウィリアム・チーフアナリストも、資金流入は「安定した大統領選」と市場が評価している証で、22日の発表後も安定は続くとの見方が優勢と指摘する。
誹謗(ひぼう)中傷や偏向報道の批判を受けて売られているメディア株についても、22日後は回復するとみている。(佐藤拓也、前山つよし)