プラボウォ氏連合結成 ポスト大統領選幕開け 22日発表で駆け引き

 プラボウォ大統領候補は14日、陣営に参加した7党と「メラプティ(紅白=国旗)恒久連合」を結成したと発表した。国会多数派を形成し、8日の国会関連法改正の採決では早くも連合が可決に持ち込んだ。だがジョコウィ氏優勢をみて参加政党は浮き足立つ。新政権入りを見据えた政局が幕を開けた。

 プラボウォ氏は14日、中央ジャカルタのプロクラマシ記念碑で7党(小党を含む)の党首を集め、大統領選での7党連合が議会での連立を「恒久化」すると宣言した。「私がこの恒久連合の顧問になる。7党が力を合わせ『インドネシアの覚醒』を実現する」。仮に国会連立になれば議席63%を占める。選挙前日の8日、国会議長の選出方法を自派に優位になるよう改正した。「仮に大統領職は渡しても、議会は渡さない」決意の表れだ。裏返せば、プラボウォ氏が落選を視野に入れたとも言える。当選なら連合から抜ける党はいない。
 だが、連合政党は負ければうまみがない。一部の調査機関はプラボウォ勝利を描くが、大勢では敗勢もうつろう。ジョコウィ陣営(国会議席37%)は議会の過半がほしい。椅子はまだある。その開票集計結果は22日に明らかになる。
 「(連合は)バクリー党首(個人の)の態度で、一時的なものにすぎない」。ゴルカル党のアグン副党首(福祉調整相)は15日、プラボウォ氏の「恒久連合」宣言をやんわり否定。しかも村郡町での開票集計不正疑惑を非難し、ジョコウィ氏の主張と足並みをそろえた。
 ギナンジャール・カルタサスミタ氏ら一部の党長老も連合を否定し、ジョコウィ陣営に同調すべきだとの姿勢を表明している。
 ゴルカル党は負けない布陣をつくった。プラボウォ連合にバクリー党首ら執行部が入り、ジョコウィ氏のペアも前党首のカラ氏。党自体も選挙前に両派支持で二分した。カラ氏は9日の勝利宣言の後「ゴルカル党内の動きはダイナミックになる」とほのめかした。次期党首選でバクリー執行部が終わり、親ジョコウィ候補が当選すれば、カラ氏との間に「磁力」が生じ、与党入りに道が開ける。
 開発統一党(PPP)のディムヤティ・ナタクスマ副党首は14日「もし、誘われたら(ジョコウィ連合に)加わる準備がある」と話した。同日の「恒久連合」宣言に参加したスルヤダルマ党首(巡礼汚職事件の容疑者に認定)と異なる見解だ。
 同党もプラボウォ陣営入りの前に党内が二つに割れた。もしジョコウィ氏が勝てば、党内ジョコウィ派が復活し、巡礼汚職事件容疑者のスルヤダルマ党首らによる執行部を押さえつける筋書きがあり得る。
 ゴルカル党とPPPは1998年の民主化から各政権に参加し、野党を経験していない。22日発表予定の開票結果を目前に控え、新政権に加わる可能性を最大化する策略を巡らせている。(吉田拓史)

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