支援策始まるも後手 続く営業、売春婦拡散 売春街ドリー閉鎖
東ジャワ州スラバヤ市は19日、売春街「ドリー」の性産業従事者への支援金の給付を開始した。ドリー閉鎖後、市の決定を受け入れる売春婦やあっせん業者がいる一方、反対し違法営業を続ける業者や他地域の売春街へ職を求める女性たちが後を絶たない。市の支援策が後手に回っている。
18日の閉鎖決定を受け、スラバヤ市社会局は同日午前から5日間の予定でドリー内に支援金の給付場所を設置した。売春婦ら約100人が支援金を受理。社会省は予算で約73億ルピアを確保しており、性産業従事者1449人に一人当たり505万ルピア(約5万円)を支給し、再就職を促す狙いだ。
東ジャワ州もあっせん業者約300人に計15億ルピア、スラバヤ市も住民に計160億ルピアの支援金を給付する。
課題は山積だ。売春婦の中には閉鎖に反対し受給しなかったり、受給予定者リストに記載されていない者がいる。支援金を拒んだ売春婦の一人は「金額に満足できない。市の決定には従わない」と声を荒げる。
支援金給付が根本的な解決につながるわけではない。ドリーでは市による「閉鎖宣言」後も違法営業する売春宿があった。地元紙によると、メインの通りでは19日、売春宿56カ所のうち閉鎖したのは4カ所にどとまっている。
あっせん業者らでつくるドリー雇用戦線(FPL)のサプトロ代表は「市の決定は法律に基づいていないため、営業を続ける」と正当性を主張する。
市は性産業従事者に職業訓練や就職機会を提供し再就職を促す計画だが、既に対応の遅れが露呈。パプア州、リアウ諸島州バタム島など国内各地の売春街ではドリーから移ってきた売春婦が確認されているという。
リスマ市長は地方自治体に注意を呼び掛け「売春婦の個人情報を提供するなどして(拡散阻止に)努める」と強調した。 バタム市議会のリキ議員は「売春婦の人数を確認し対応を急ぐ」と危機感を露にしている。
市はドリー一帯の売春宿や家屋320カ所を総額約360億ルピアで買い取り、跡地を商業施設に再開発する計画だ。しかし「評価額で非常に高額な売春宿がある」(市関係者)など資金面でも課題を残す。(小塩航大)