中東情勢でルピア懸念 4カ月ぶり安値 原油高騰で財政悪化も

 中東情勢の悪化による原油価格上昇の懸念で、ルピア安圧力が高まっている。18日の対ドルでの為替レートは一時1万2000ルピアを超え、約4カ月ぶりの安値となった。今後、原油価格が高騰すれば、さらにエネルギー補助金が膨らみ、財政悪化につながりかねない。
 ブルームバーグによると、19日は1ドル1万1935ルピアで終えた。イラクではイスラム・スンニ派と政府軍との戦闘が続いており、中東から多くの原油を輸入するインドネシアの懸念要因になっている。
 三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の林哲久副支店長は「今後のルピア相場は中東情勢次第で、暴落する可能性もある」と指摘した。中東情勢が安定した場合、「大統領選で海外投資家の期待が高いジョコウィ氏が勝てば、しばらくは上昇傾向が続く」とした。
 民間対外債務が4月、前年同期比で13%増の1456億ドルになったことも懸念だ。企業は海外から、金利の低いドルや円で資金を調達し、ルピアに換えて使用する傾向にある。
 ドル建て債務でルピアが下落すれば、その分支払いは増え、インドネシア企業の業績が一斉に悪化したり、債務不履行になったりする懸念があり、中銀はリスクを分散するよう呼びかけている。
 ルピア安は財政のさらなる悪化を招く。2014年予算の補正では、燃料と電力からなるエネルギー補助金は282兆1千億ルピアから350兆3100億ルピアまで膨れ上がった。
 増加分を補うため、各省庁や政府機関予算の100兆ルピア削減を決めた。だがインフラ整備などに影響が出るとして、43兆ルピアのみの削減となり、50兆ルピアは来年予算に繰り越した。
 予算補正時のマクロ経済指標の修正では、1ドル1万1600ルピアに設定したが、すでに上回っており、原油価格上昇と相まり、エネルギー補助金はさらに膨らむ可能性もある。
 経済紙コンタンは繰り越しについて、専門家の話として「現政権はエネルギー補助金問題に取り組まないことを印象付けた」「新政権の財政政策の幅が狭まる」と批判的に報じている。 
 昨年に続き補助金付き燃料値上げが必要との声が高まっているが、ハティブ財務相は「削減幅などは新政権で決めるのが望ましい」との見解を示した。(堀之内健史)

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