JIS20人を強制送還 「職種詐称」で外国人教員 法務人権省
法務人権省は4日、南ジャカルタのジャカルタ・インターナショナル・スクール(JIS)幼稚部の外国人教員26人のうち20人を入管法違反(職種詐称)と断定し、6日から段階的に強制送還することを決めた。
同校で4月に清掃員による男児2人への性的暴行が発覚。被害を受けた2人目の男児が「青い服を着た金髪の男性にいたずらされた」と証言したことから、国家子ども委員会(KPAI)は警察に外国人教員への捜査を訴えていた。
法務人権省出入国管理総局は、暫定滞在許可証(KITAS)申請時と異なる業務をしていたとして、外国人職員26人のうち、ティモシー・カー校長を除く25人を入管法違反とした。内訳は米国9人、豪州2人、英国、カナダ、インド、トルコ、ニュージーランド、シンガポール、台湾などだった。
同総局のヘリヤント報道官はじゃかるた新聞の取材に対し、「KITASでの登録は小学校の英語、算数、美術などの教員や総務職員などとしているが、実際は幼稚部で教えていた」と指摘。同幼稚部の閉鎖を命じた教育文化省からの報告と、外国人教員の証言をもとに違法と判断したと説明した。
25人のうち20人を強制送還するが、残り5人の教員については、暴行事件に何らかの形で関与した疑いのある教員が含まれており、強制送還するかどうかは警察の捜査次第としている。
ヌー教育文化相は4日、「インターナショナルスクールでもインドネシアの法律を順守しなければならない」と強調した。JISは弁護士を通じ、5日付で「教員の業務手続き上の誤りがあった。学校側が全面的に責任を負う」との声明を出した。
「国内で身柄確保を」
強制送還について、国家子ども保護委員会(KPAI)のスサント役員は5日、暴行事件の解明は終わっておらず、今後の捜査に影響を与えかねないと懸念を表明。JISと教育文化省を相手取り、損害賠償を求める民事訴訟を起こした被害者弁護団のOC・カリギス氏は「事件には委託業者の清掃作業員だけでなく、2人の外国人教員も関与した疑いがあり、教員の身柄は国内に確保しておくべきだ」と訴えた。
リクワント報道局長は、外国人教員が送還されたとしても、必要があれば捜査依頼できるとし「今後の捜査に影響はない」としている。
警視庁は先月30日、JIS校内で事件に関与した疑いの5人の犯人のうち、留置場で自殺したとされる1人を除く4人の立ち会いのもと実況検分した。
外国人労働者の就労許可をめぐり、入管当局による外国企業などへの立ち入り検査はしばしば行われている。ジャカルタ日本人学校(JJS)幼稚部の吉野恵理子園長は「担任教師や園長も含め、正式な手続きに沿ってKITASを取得している」と説明。今回の事件を「とても驚いている」とコメントした。同校では幼稚部教員には卒業証明書や資格証明書などの提出を義務づけている。