古都結ぶ 新電車開通 ソロ―ジョクジャ間 ジョコウィ市長肝いり
中部ジャワ州ソロとジョクジャカルタ間を結ぶ電気式ディーゼル機関車「レールバス・バタラ・クレスナ号」(3両編成)が5日、開通した。日本の京都と奈良に例えられ、観光客誘致に力を入れる古都だが、観光政策での歩調はそろわず、両市を結ぶ観光客向けの交通機関はなかった。ジャカルタ特別州知事選で首位通過したソロのジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)市長肝いりの新交通としても注目を集めている。
レールバスの車両は長さ約40メートル、1両178人、3両で計534人乗り。電気式ディーゼル機関車で、東ジャワ州マディウンにある国営鉄道製造会社インドゥストゥリ・クレタ・アピ(インカ)社の工場で製造した。総事業費は168億ルピア(約1億3800万円)。
当面、ソロのバラパン駅発、プルウォサリ駅経由スコハルジョ行きは午前6時と午後5時の2本。プルウォサリ駅発ジョクジャカルタのトゥグ駅行きは午前9時発、同帰路は午後2時発の各1本を運行する。
ソロ―スコハルジョ間は75分で1万ルピア、ソロ―ジョクジャカルタ間は58分、2万ルピア。最高時速は60キロだが、ソロの市街地では車やオートバイなどと並走し、踏切警報機などが未整備の場所もあるため、20―30キロほどで走る。
現在、ソロ―ジョクジャカルタ間には快速列車「プランバナン・エクスプレス号」が1日10本運行しているが、エアコンは部分的にしかなく、観光客の利用も限られている。観光客でにぎわうジョクジャカルタのマリオボロ通りのトゥグ駅から発着するレールバスの運行で、両都市の観光促進も期待される。
地元メディアによると、国鉄(KAI)のイグナシウス・ジョナン社長は、開通式で「何回も延期されてきたが、ようやく正式に運行を開始することができた」とあいさつ。レバラン(断食明け大祭)帰省客の利用も見込む。
国鉄ジョクジャカルタ管区のエコ・ブディヤント報道官は「運賃はエコノミー列車の2倍と高めに設定したが、レールバスは計6駅しか止まらない。ジャワ島内で乗客数の多い区間でもあり、車両の快適さを求める乗客は多い」と説明。今後本数を増やしたり、沿線整備が遅れているソロ近郊のウォノギリ路線など、サービスを拡充する方針だ。
ソロでは、ジョコウィ市長が陣頭指揮して新交通機関を次々導入。トランスジャカルタのような路線バス「バティック・ソロ・トランス(BST)」は空港や市内各地を結び、計35カ所の停留所を持つ。他市の交通機関に先駆け、市内バスに各銀行と提携した電子カードの運賃支払いシステムを導入して話題になった。
また目抜き通りでは、国内外の団体観光客に貸し出す蒸気機関車を運行。週末限定の2階建てオープン式の観光バスも観光客に好評だ。
ジョコウィ市長は、ジャカルタの渋滞緩和にもレールバスは有効としており、州知事選ではトランスジャカルタの一部路線への導入も検討すべきだと訴えている。