頼みのバス一元化 深刻化する交通渋滞 トランスジャカルタ公社化

 大量高速鉄道(MRT)第1期が稼働するのが2018年。民活のモノレール事業はほぼ白紙に戻った。渋滞が深刻化するなか、ジャカルタの公共交通政策は直近はバス頼み。州政府は公共バス統合の道を見据えている。
  州政府はトランスジャカルタにてこ入れしてきたが、2月、操舵役のウダル・プリストノ運輸局長に汚職疑惑が浮上。ジョコウィ知事は幹部クラス26人とともに同月更迭した。
 疑惑の始まりは州政府が新車として購入したトランスジャカルタの中国製車両に中古部品が使われたこと。最高検は先月初旬、収賄の疑いで容疑者に断定した。ウダル容疑者は昨年、総額1兆ルピアの車両調達事業で科学技術応用評価庁(BPPT)産業科学・運輸システム局長らと共謀し一部を着服した疑いだ。州政府は今年も車両調達に昨年を上回る3.2兆ルピアを計上するが、執行は遅れている。
 州政府はメトロミニ、コパジャ、アンコット(乗り合いバス)などの公共バスを一つにし、国鉄との連結を強める政策を進め、事業を現行の特別事業体から今年設立した州公社トランスジャカルタに移管する。年内が期限だ。公園造成など公共事業を担う州公社ジャックプロにもてこを入れ、民間企業の助成を受けてきており、もたつく州政府機構の外で仕事ができるようにするのは、アホック知事代行の一貫した姿勢だ。
 事業体を「換装」した州公社が公共バスを直接管理する仕組みになる。州政府は新公社に8千億〜1.2兆ルピア程度の補助金を渡し、運賃を現行の3500ルピアに固定することを義務づけた。国鉄とも2015年までにチケットを統一し、駅の連結を進める。1日から3路線で24時間営業を開始したのは公共交通の利用を促す狙いだ。
 新公社は公共バスのメトロミニ、コパジャ、アンコットの運転手を再雇用する予定。歩合で働くため、路上を行ったり来たりし駐車を繰り返し、渋滞の原因の一つと指摘されてきた。アホック知事代行は運転手が給料をもらえば決められた順路を進むと話した。
 昨年7〜8月の記者のメトロミニ取材時には、運転手は「歩合制で働き、渋滞とオートバイの普及でもうけが落ち込んでおり、15時間労働、日当が5万〜12万ルピアしかもらえない」と話した。
 運営会社は取締役会紛争の末に空洞化し、州は監督ができなくなった。アホック知事代行は「幾つものバス路線をさまざまな事業者が運営するため、バスの台数がむしろ多すぎる。統合して、大型の車両を入れた方が効率が良い」と考える。雇用を約束したため、失業を恐れる運転手も反対デモを止めそうだ。
 バジャイをめぐっても、15年にはガス燃料の使用を義務付けた。オレンジ色のガソリン車の車両1万4千台が廃止の危機に直面。ガス燃料の青いバジャイは現在千台に過ぎず、運転手は廃止に反対するデモを繰り返してきた。(吉田拓史)

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