実力者乗り換え続く 党の決定、なんのその
ジョコウィ氏の副大統領候補に名前が挙がっていたマーフッド元憲法裁長官は20日、自身が選ばれないと分かると、相手プラボウォ陣営の選対本部長に乗り換えた。実力者にとって政党が「乗り物」に過ぎないという近年の傾向がここに極まった。
マーフッド元憲法裁長官
マーフッド元憲法裁長官はもともと民族覚醒党(PKB)の「大統領候補」だったが、ジョコウィ氏の副大統領候補の椅子に近いとみられていた。19日にカラ前副大統領が副大統領候補に選ばれると、一転してプラボウォ陣営の選対本部長に就任した。2009年大統領選ではユドヨノ氏を支持した政党は、その後の組閣で大臣職を得た。
マーフッド氏はPKB副党首(02〜05年)を務めたこともあるが、行政、議会を監視する憲法裁の長官に就任したとき党を辞した。だが、古巣とは密接で、PKBが基盤にする国内最大のイスラム団体「ナフダトゥール・ウラマ(NU)」の知識人の信頼も厚い。
ただPKBの方も大統領候補として、有力者の力を集めるためにマーフッド氏、カラ氏、歌手のロマ氏の「三股」をかけており、裏切られた気分になったのが原因との観測もある。選ばれたカラ氏はゴルカル党員だが、PKB地方支部がカラ氏支持の決議をし、PKBにも乗れるようにしておく巧みな技を使った。
テレビ局保有のハリー氏
テレビ局3局保有の実業家ハリー氏は最初、自身の社会団体ともども新党ナスデムに加わったが離党。ハヌラ党に入党とともに党副大統領候補になる。総選挙が終われば、低得票の党がジョコウィ氏を支持したのに逆らいプラボウォ陣営に入った。離党する見通しだ。
ゴルカル幹部ルフット氏
ゴルカル党は19日、プラボウォ陣営に滑り込んだが、ルフット・パンジャイタン顧問会副会長(退役陸軍大将)は20日、反旗を翻してジョコウィ支持を表明。バクリー氏に連合の決定権を与えた18日の全国会議決議を真っ向から破った。ルフット氏は陸軍士官学校70年卒同窓会の頭目で、軍に影響力を持つと言われる。「後輩」のユドヨノ大統領が政権転覆を恐れたとされた時期に会談したこともある。