性的暴力防止求める声 100万人の署名も 政府、監視強化
国家警察は7日、児童への性的暴行事件は今年確認しただけでも、18州で98件あったと発表した。ジャカルタインターナショナルスクールの事件や西ジャワ州スカブミでの男児への性的暴力事件が明らかになるなか、政府は防止に全力を挙げると表明、100万人の署名も集まり対策を求める世論が高まっている。
国家警察のスタルマン長官によると、発表は18州98件だが、残る31の州と地域からの情報は入ってきていないため、今後、件数は増えるとみている。各地で児童への性的暴力防止と対策を求める声が高まっているが、国家子ども保護委員会(KPAI)は5日、西ジャワ州ボゴール県チブブールの子どもらを含む署名100万人分受け取った。チブブールは、3日に逮捕されたスカブミのアンドリ容疑者の犯行現場。被害に遭った男児は約100人という。
KPAIのエヴァ・デウィ委員長は「子どもたちは人生の中で一生、暴力を受けた記憶を背負い続けるが、犯人は最長15年で刑務所を出て自由になる」と現行の児童保護法を批判。署名を国会に提出し、最長禁錮15年という児童保護法の改正を求めると強調した。KPAIによると今年3月までに200件以上の被害報告があり、被害者の6割が男児という。
相次ぐ性的暴力事件を受け、政府は8日、緊急の会議を開いた。ユドヨノ大統領は国家警察のスタルマン長官やナフシヤ・ムボイ保健相やアグン・ラクソノ福祉調整相らから報告を受け、「看過できない国内の深刻な問題だ」と遺憾の意をあらわにした。今後はKPAIとの話し合いの機会を持つ予定だ。大統領は「政府から、地方自治体、町単位で子どもへの見守りを強化していく必要がある」と話し、国をあげて防止する考えだ。また、スタルマン長官は外国人が子どもたちの裸の写真を撮影する事案も増えていることを指摘した。外国人の性的暴力を防ぐために、国家警察は、たとえば前歴がある外国人が再入国する際に、滞在場所の報告を義務付け、地元警察が監視する対策を取っていく。
(山本康行)