別荘地開発にメス ボゴール県知事を逮捕 許認可で収賄45億ルピア
西ジャワ州ボゴール県プンチャック周辺の別荘地開発に絡み、土地利用を不正に許可し、民間企業から現金を受け取ったとして、汚職撲滅委員会(KPK)は7日夜、同県知事のラフマット・ヤシン容疑者(50)=開発統一党(PPP)=を汚職撲滅法違反(収賄)容疑で逮捕し、自宅などから賄賂とみられる現金計45億ルピア(約3900万円)を押収した。
逮捕容疑は、同県チサルアやメガムンドゥンなど山間部で、計2754ヘクタールの土地利用許可を出す見返りとして、民間企業から多額の現金を受け取った疑い。KPKは同日午後7時ごろ、ボゴール市内の高級住宅地「タマン・ヤスミン」にある自宅にいたヤシン容疑者を逮捕した。スントゥールの関係先で15億ルピアを発見し、その他の場所で計30億ルピアを見つけた。KPKはいずれも企業から受け取った賄賂の一部とみている。
知事の逮捕に先立つ同4時半ごろ、KPK捜査員はスントゥールのレストランを急襲。贈賄側企業関係者とみられるザビア・ヨハン容疑者と、一緒にいた県農林局局長のムハンマド・ザイリン容疑者を逮捕した。ザイリン容疑者は知事の代理を務めていたとみられる。KPKは同日、知事の運転手ら3人の身柄も拘束した。
ヤシン容疑者は2008年の県知事選で初当選。最近までPPPの西ジャワ支部長を務めていた。
■乱開発で保水低下
プンチャックはジャカルタに注ぐチリウン川の源流に位置し、首都圏の観光客の避暑地として人気が高い。政治家や実業家、国軍や警察幹部など有力者をはじめ、外国人が保有する別荘も多い。しかし乱開発による保水機能の低下でチリウン川が氾濫し、首都圏の洪水被害拡大の原因になっているとの批判が高まっていた。
ヤシン容疑者は昨年、別荘の許認可の見直しに着手。建設許可未取得の場合、違法建築物と見なし、別荘が建つ山肌にショベルカーを送り込み、強制的に取り壊してきた。地元メディアによると、県政府は昨年だけで800棟のうち231棟を撤去。今年は400棟を取り壊す予定という。
洪水対策に注力するジャカルタ特別州のジョコウィ知事は昨年、違法建築物の撤去に財政援助すると表明。昨年は21億ルピアを拠出し、今年は50億ルピアを負担する方針を示している。(西村百合恵)