大統領に聴取要請 「何も知らない」と拒む ハンバラン競技場汚職で KPK

 西ジャワ州のハンバラン競技場建設で受注企業から現金を受け取ったとして民主党のアナス元党首が逮捕された事件で、汚職撲滅委員会(KPK)がユドヨノ大統領(民主党党首)や次男のイバス同党幹事長に参考人として出頭を要請していたことが分かった。大統領らは要請を拒否した。
 アナス容疑者は弁護側証人として大統領らの出廷を希望しており、KPKも聴取が必要と判断したとみられる。大統領の法律チームを率いるパルメル・シトゥモラン弁護士の話として地元メディアが報じたところによると、大統領は先月25日に書面で要請を受けた。後日、「事件について知っていることは何もない」ことを理由に、応じない旨を回答したという。
 任意の参考人聴取のため、要請に法的強制力はない。過去に現職大統領が参考人聴取に応じたり証人出廷したケースはなく、シトゥモラン弁護士は「大統領が要請に応じれば、今後のどんな汚職事件でも証言を求められかねない」と話した。KPKは大統領が証言を拒んだ事実を認めているが、大統領府からのコメントはない。
 アナス容疑者は2009年の競技場整備で、建設を受注した国営ゼネコンのアディ・カルヤから現金22億ルピアを受け取ったとされ、同年にアナス容疑者が当選した党首選の資金になった疑いが持たれている。逮捕後、競技場事件に加えて、08年に経営破綻したセンチュリー銀行に不透明な形で公的資金が注入された問題に、ユドヨノ大統領が関与したと主張していた。しかし、最近になってアナス容疑者側は大統領を「最重要証人」と位置づけ、法廷での弁護証言を求めていた。
 シトゥモラン弁護士は「アナス氏は事実と異なる告発で大統領への攻撃を続けていたが、今度は弁護側証人として出廷を要請しており理解に苦しむ」と指摘。「KPKの権限を不当に利用し、大統領や親族を法廷に引きずり出そうとしている」と批判した。アナス容疑者の弁護を担当するフィルマン・ウィジャヤ弁護士は大統領の対応について、「アナス氏の事件について何も知らないということを法廷で(公判で検察役を務める)KPKに説明するべきだ」と主張している。(道下健弘)    

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