国営銀が衛星 通信用、2016年打ち上げ
国営ラクヤット・インドネシア銀行(BRI)は自社の通信衛星を打ち上げる。銀行が自社衛星を持つのは世界で初めて。金融機関の競争の激化を見据え、不安定な通信環境を改善する。地元メディアが報じた。
米スペースシステムズ・ロラールとBRIは28日、通信衛星開発に調印した。費用は2兆5千億ルピア(約220億円)を見込む。2016年の第2四半期に南米の仏領ギアナから打ち上げる。運用寿命は15年の予定。45のトランスポンダ(電波中継機)を積み、重量は3500キロ。
通信衛星保有のメリットについて、BRIのソフヤン・バシール頭取は「経費削減と顧客サービスの向上につながる」と強調する。同社は2013年12月時点で9800の支店・事務所を保有するが、東西5千キロの島嶼国のインドネシアで、支店や事務所をケーブルでつなぐのは困難という。
現在は九つのプロバイダの衛星を含む通信サービスを利用しており、その費用は年間5千億ルピアに上る。自社衛星を運用すれば年間2500〜3千億ルピアの経費削減ができるとしている。
ソフヤン頭取によると、現状は通信環境が不安定で、「ATM(現金自動預け払い機)がネットワークに接続しない」などの苦情が多く寄せられている。
自社の通信衛星を使うことで、通信障害を減らし、顧客の満足を高めたい考えだ。
衛星の電波中継機は政府も使用予定で、防衛や農業データの収集などに活かす。調印式にはユドヨノ大統領も出席。BRIが衛星を持つ世界初の銀行になることを「歴史的」と歓迎した。