在庫処分で95%引き 火災のスネン商人

 25日未明に起きた中央ジャカルタの伝統市場パサール・スネンの火災から2日たった27日、商人たちは焼け跡から商品を運び出し、そばの通りで在庫処分の安売りをしていた。
 「1着千ルピア! 奥さん、安いですよ!」。午後3時、市場前の通りの両側に服飾の青空市場ができており、買い物客で埋め尽くされていた。
 ひと際大きな声で客を呼び込むスナンさん(22)は「店が燃え尽きて在庫を置く場所がなく、みんな利益無視で安売りしてる」と話す。普段は2万ルピア(約176円)で売るシャツなどをこの日は95%割引の千ルピアで処分した。服はほとんどがしわで、しかも放水の水で湿っている。「自分たちの商品はなんとか生き残った」。
 通りを抜けると黒こげになったブロック3がある。消防士とともに中に入ると、もくもくと煙が立ちこめていた。ところどころに熱気を保ち、水が滴り落ちる。
 中では商人らが、焼けた自分の店で、まだ販売できそうな商品を探していた。政党関連グッズなどを売っていたバスリザルさん(40)はすすを顔に付けたままで「あったはず」と、商品と売り上げの数百万ルピアを探す。2日間家に帰らず、飲食もほとんどしていない。「燃えずに残っていることはないんだろうけど」と言うが、あきらめがつかない様子だ。
 地元メディアによると、26日も市場を視察したジョコウィ知事は商人の代表と会談。早期にそばに商売場所を確保したり、賃料延滞分を帳消しにすることを約束した。火災でブロック3に入居していた商店約3千のうち、2千が被害を受けた。
(堀之内健史、写真も)

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