JISと教育省を提訴 慰謝料1200万ドル請求 暴行被害の保護者
ジャカルタインターナショナルスクール幼稚部(JIS、南ジャカルタ・ポンドックインダ)のトイレで男児が清掃作業員に乱暴された事件で、男児の保護者はJISと教育文化省を相手取り、JISに損害賠償1200万ドルの支払いと同省に同幼稚部の廃止を求める訴訟を南ジャカルタ地裁に起こした。
原告弁護団のOC・カリギス弁護士は21日、地元メディアに対し、JISは小中学部と高校部の認可しか受けていなかったにもかかわらず、幼稚部を運営するなどの違法行為があったうえ、校内の監視を十分せずに事件の原因となったと指摘した。教育文化省についても、教育機関を指導監督する立場にありながら、適切な措置を取らずに運営を続けさせたとして監督責任を追及する。
カリギス氏は有力政治家や実業家の大型不正蓄財事件などの弁護を担当してきた著名弁護士。事件について「性暴力事件だけでなく、許可なく学校を運営する違法行為があった」と主張した。訴訟とは別に、他のインターナショナル校で同様の事案がなかったか調べるよう教育文化省に求める。
弁護団は、JISが事件後に犯行現場となった校内のトイレの改修工事をしていたことも問題視。司法手続きを妨害するものだったと批判した。刑事事件として清掃作業員を捜査する警視庁も改修の事実を把握しており、リクワント報道局長は「合理的な改装理由はなく、証拠隠滅にあたる可能性がある」と話している。
■校長「捜査に協力」
一方、JISのティモシー・カー校長は同日、中央ジャカルタのホテルで記者会見し、「我が学校の男児の身に起こり、それも校内での出来事についてとても申し訳なく思う。学校関係者、教員、児童たちにショックと怒りと悲しみをもたらした」と謝罪した。
被害者や家族への支援、警察の捜査に協力する姿勢を強調したうえで、校内の安全確保に努めると強調。同日朝も教育文化省のリディヤ・フレヤニ・ハワディ保育幼児教育総局長と面会し、学校の一時閉鎖措置を解除するよう協議したと話した。
教育文化省によると、国内で「インター校」として運営している保育・幼稚園はジャカルタで41校、全国で111校ある。リディヤ総局長は今回の事件を受けインター校調査班を設置したと表明した。インター校と称して高額の学費を取る利益優先の学校も増えていると指摘。インドネシア語やパンチャシラ(国家5原則)国民教育など、同省がインター校を含む全ての学校に課す科目の実施状況なども確認する。