マンディリ、BTN買収へ 規模拡大へ政府後押し

 国内最大手の国営マンディリ銀行は住宅ローンを主体とした国内10位(2012年)の国営タブンガン・ヌガラ銀行(BTN)の買収計画を進めている。東南アジア諸国連合(ASEAN)内での資本の移動自由化をにらみ、お互いの競争力を高める狙い。                    

 計画では政府が保有するBTNの株式60%をマンディリグループが取得し、傘下に収める。5月21日に開く両行の株主総会と国会の承認を受ける見通し。
 「東南アジアで10位以内の貸し手になる」。ダフラン国営企業相は地元メディアに買収の意義をこう主張し、政府も後押しする考えを示した。
 買収のメリットは規模の拡大だ。英字紙ジャカルタポストは現在のインドネシアの銀行業界について「地域で最も統合されていない」と指摘。インドネシアには100行以上の銀行が乱立しているが、他の東南アジアの国は多くても50\行程度。マレーシアでは10行ほど。同紙によると、シンガポールやマレーシア、タイに比べて規模が小さいことが、国内銀行の海外進出の障害になってきた。
 マンディリ銀行の総資産(2013年)は733兆1千億ルピア(約645億1千万ドル)でBTNは131兆1700億ルピアで、合わせると710億ドルに拡大する。
 東南アジア最大の銀行はシンガポール国営のDBSグループで総資産は3184億4千億ドル。マレーシア国営メイバンクとCIMBグループはそれぞれ1707億8千億ドル、1130億3千億ドルと買収に成功しても、依然として他国の銀行グループとは規模で大きな差がある。
 BTNは低金利ローンで中間層以下の住宅取得を後押ししてきた。BTNとしては、マンディリの資金力を得ることで、住宅ローン拡大に弾みがつくとの見方がある。ダフラン氏は「今のBTNでは十分対応できない将来の住宅ローン需要の増大をマンディリ銀行がまかなうことができる」とメリットを強調した。
 一方で国営アンタラ通信は専門家の話として「買収されれば低金利での住宅ローンが見直され、貧困層の住宅購入が難しくなる」おそれがあると報じている。

■社員数百人が抗議
 マンディリ銀行によるBTNの買収計画を受け21日、BTN社員ら数百人が中央ジャカルタ・ハルモニにあるBTN本社で抗議した=写真、アンタラ通信。
 参加者らは買収後に雇用が失われる可能性がある上、マンディリ銀行と住宅ローンを主体とするBTNでは相乗効果が見込めないとして買収に反対している。(堀之内健史)

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