「火災対策には団地を」 建設計画浮上の現場視察 ユスフ・カラ前副大統領
インドネシア赤十字(PMI)のユスフ・カラ総裁(前副大統領)は14日、先月28日に発生した火災で269戸が焼けた西ジャカルタ・タンボラ郡プコジャンの住宅密集地を訪問し、火災を防止するには公営団地を建設するのがより効果的との考えを示した。カラ総裁は副大統領だった2007年に低所得者向けの公営団地千棟を建設する政府の計画の策定に関わった。「大都市に低価格の住宅が不足していることは大きな問題。建設が早急に進められることを期待する」と人口過密の解決策として団地建設を推進すべきとの持論を再び展開した形だ。(吉田拓史、写真も)
同総裁は14日午前9時ごろから、スティヨソ前州知事とともに約2時間火災現場を視察し、PMI総裁として建材などを提供した。住民約千人は火災以降、礼拝所や壁だけになった住居などで寝起きしている。警察によると、火災は漏電により空き家の2階から出火し、RT(隣組)7地区に延焼した。
カラ総裁は「火災の被害を防ぐためには公営団地建設が不可欠。このような人口密集地で火事が起きればすぐに燃え移ってしまう」と指摘。団地が建設された場合、元の住民には補助金を払うのが州政府の義務との認識を示した。集落の家賃の平均は月50万ルピアほどだが、団地の家賃はより高額になる可能性が高く、他地域への移住を余儀なくされる事態が想定される。
火災現場を含む住宅密集地には、ジャカルタ特別州による公営団地建設計画がある。だが、火災で住宅を失ったフセイン・アリフィンさん(47)は「団地に移れるというが、後で高い家賃を払わなきゃいけないに決まっている。もし、建設するならデモをする」と抗議の構え。ミングス・ジャヌアリ町内会長(42)は「住民は団地建設の準備がまだできていない」と時期尚早との見方だ。