日本語パートナー1950人派遣 高校教師や生徒を支援 国際交流基金アジアセンター
日本政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との文化交流を加速させる。国際交流基金はこのほど、促進拠点として「アジアセンター」を設置した。ASEAN各国の日本語教育機関へ2020年までに3千人、インドネシアには1950人派遣する計画だ。日本語支援と文化発信で親日家を育成し、人的交流を活性化させる。
安倍晋三首相は昨年12月、日・ASEAN特別首脳会談で文化交流拡大政策「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト〜知り合うアジア〜」を発表した。20年の東京オリンピック開催に向け、アジアセンターは日ASEAN地域の芸術・文化の双方向交流と日本語学習支援事業を展開する。
その目玉となるのが、ASEAN各国の高校の日本語教育に携わる教師や生徒を支援する「日本語パートナーズ派遣事業」だ。今年は5カ国(インドネシア、ベトナム、フィリピン、マレーシア)に計105人を派遣。20年までにインドネシアへ1950人、他のASEAN各国に1050人を派遣する。
現在、今年9月にインドネシアへ派遣する候補者25人を募集。派遣期間は約9カ月。合格後は各地の高校に送られ、授業の教材作成や運営補助、生徒の学習支援を担い日本語教育の支援体制を強化する。
アジアセンターによると、派遣先はASEAN各国の日本語学習者数が多い都市を選ぶ。同センターの担当者は「学習者が日本語を身近に感じる環境を整備し、中長期的な学習意欲を養えるようにサポートしてほしい」と話した。
■教師の質向上に
日本のアニメやコスプレ人気が拡大し、ASEANの12年日本語学習者数は計113万人に増加した。世界の日本語学習者数(398万人)の大半がASEANに集中する。
日本語学習者数世界2位(約87万人)のインドネシアにはジャカルタ首都圏の高校を中心に派遣する。高校生の学習者数はうち96%で世界1位だ。
インドネシアの日本語教育機関数は2346機関あり、大半が中等教育機関。教育現場では急増する学習者数に教師数が追いつかず、初級レベルの日本語能力の教師が教える学校も多い。国際交流基金ジャカルタ日本文化センターの小川忠所長は「日本語パートーナーが現地教師や生徒と交流を深めることで、現地教師の質向上など好影響をもたらすだろう」と期待する。