福祉車両9台引き渡し 日本財団、福祉友の会 北スマトラ州メダンで
日本財団が元日本兵の相互扶助組織である「福祉友の会」への寄贈を通じて行っている福祉車両九台の引き渡し式が二十日、北スマトラ州メダンのグラハ・キラナ教育財団で行われ、北スマトラ州のガトット・プジョ・ヌグロホ知事代行、社会省官房局企画部のアバス・バスニ国際協力課長、在メダン日本総領事館の濱田雄二総領事、日本財団国際協力グループの梅村岳大プロジェクトコーディネーター、福祉友の会のヘル・サントソ衛藤発起人会長、バンバン・テジョ・バスコロ新田見理事長らが出席した。
日本財団は、日本で使われなくなった車いすなどを乗せることができる福祉車両の海外への配備を進めており、これまでペルーに百四十四台、カンボジアに二十五台、スリランカに十二台を配備。
今回、インドネシアでは、インドネシア政府、在インドネシア日本大使館、同財団が二〇〇四年に設立した技能ボランティア海外派遣協会(NISVA)と協力し、中古車両の輸入許可を取得した上で三月に車両をインドネシアに移送した。その後、ジャカルタとメダンに計十七台を配備し、メダンでは二病院と七つの福祉関係の財団法人に引き渡された。
式典で、ガトット知事代行は「政府だけでなく、今回のような民間の活動も非常に大切。今後はメダン以外の地域にも広げていってほしい」と感謝の意を表明。福祉友の会のメンバーが中心となって運営している日本語・文化学校「ミエ学園」による太鼓やよさこいなども披露されたほか、同学園のメダン校を共同運営するグラハ・キラナ教育財団の学校で学ぶ小中高校生六人に対し、ミエ学園から奨学金授与も行われた。
濱田総領事は「これまで、ここで福祉車両を見かけることはなかったこともあって、地元の関心も非常に高く、州知事が来るのもその表れだと思う。寄付が二国間の親善・交流に大きな貢献を果たしており、ミエ学園の文化パフォーマンスと合わせ、『国民間協力』ともいえる協力が浸透してきていると感じる。政府もこのような活動をバックアップしていく必要がある」と話した。
日本財団はこれまでにも、インドネシアで人材育成支援などを進めてきている。福祉友の会を通じた支援について、梅村さんは「財団では日系社会に対する支援も重点項目として位置付けており、今回を機会にこれからも支援を拡大していくことを考えていきたい」と抱負を語った。