政権2期で道路4400キロ スマトラ高速も着工遅れ 成果問われるインフラ整備

 ユドヨノ大統領(民主党)が任期中に目指した交通インフラ整備の遅れが目立ってきた。土地収用の遅れなどが原因で、スマトラ縦断高速道は目標とした年内には着工できないことが確実になった。10月に政権を下りる大統領にとって、2期10年の評価に直結する分野だけに、選挙キャンペーンでは成果の強調に躍起になっている。
 ユドヨノ大統領は29日、中部ジャワ州スマランでの党集会で「今回の複線化はスマランを含む多くの地域に恩恵をもたらすだろう」と演説。4月中に運行が始まるジャワ北岸鉄道(ジャカルタ〜東ジャワ州スラバヤ)の複線化を自賛した。
 この2日前には北スマトラ州メダン近郊のクアラナム国際空港の「開港式」に出席。実際には8カ月前に開港した同空港だが、あえて他の5空港の整備計画完了も合わせて発表し、利便性や経済波及効果をアピールした。
 成果の強調に躍起になる背景には、他の大規模プロジェクトが思うように進んでいない現実も見え隠れする。ジョコ公共事業相は24日の会見で、スマトラ島を縦断するトランス・スマトラ高速道の年内着工は不可能との見通しを示した。ジャワ島とスマトラ島を結ぶスンダ海峡大橋も採算性の問題が再浮上している。
 いずれもユドヨノ大統領が任期中の着工を目標に掲げていたものだが、ジョコ氏によると同高速道は土地収用が難航。計画より2〜3年の遅れが出ているという。延長2700キロの道路建設には約21万平方キロの用地が必要だが、具体的な進ちょく状況についての言及はなく「ごくわずかな用地しか収用できていない」とだけ説明した。
 スンダ大橋については「道路利用料だけでは投資回収に100年かかる」と述べた。橋に液体輸送用のパイプラインと鉄道を併設した場合でも回収は困難という。既に大手開発会社が独自に事業化調査を進めているが、計画が大幅に見直される可能性もある。
 道路全体で見た場合でも遅れが指摘されている。ユドヨノ大統領が政権に就いた2004年以降の10年で、公共事業省が新規に整備したのは4400キロにとどまり、約13%しか延びなかったという。ジョコ氏は建設進度を疑問視する記者団に「道路は長さだけではなく、車線数や幅員も問題になる。延長だけに着目するのはミスリードにつながる」と指摘。拡幅なども並行して進めていることを強調した。(道下健弘)

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