「出稼ぎ線」次々 争奪戦が激化 シティリンク 6国際線就航
国営ガルーダ航空の子会社で格安航空(LCC)のシティリンクは、インドネシア人出稼ぎ労働者の航空需要増加に伴い、今年国際線6ルートを就航させる。国内外を往来する出稼ぎ労働者をめぐる航空会社間の競争が激しくなっている。
地元メディアによるとシティリンクは、出稼ぎ労働者の予約の簡素化などを含む協力で労働者派遣保護庁(BNP2TKI)と覚書を交わした。
それに連動して同社は15日、利用客の6割を出稼ぎ労働者が占める東ジャワ州スラバヤ〜ジョホールバル(マレーシア)線を就航させた。4月からスラバヤ〜クアラルンプール線も始める。ほかシンガポール、台湾、香港、オーストラリア・パース線も就航させる。スラバヤ〜ジョホールバル線を運航していたのは、これまでマレーシアのLCC・エアアジアだけだった。
1カ月に5万人のインドネシア人出稼ぎ労働者が飛行機で移動しており、シティリンクはBNP2TKIとの連携や、国内地方路線網を持つ強みを生かして集客していく方針だ。
労働移住省によると、現在アジア太平洋地域で働くインドネシア人出稼ぎ労働者は約35万人。そのうち15万人がマレーシアで台湾、香港が続く。
現在インドネシア〜マレーシア間を運航しているのはガルーダ航空とライオン航空、エアアジアのみ。タイガー航空とマンダラ航空は、ルピア安によるコスト上昇で閉鎖している。
シティリンクのジョホールバル線就航について、競合するエアアジア・インドネシアは「マレーシアでの航空網がある」とシェア維持に自信を見せた。同線はビジネス客や観光客需要も見込めるため、楽観しているという。(堀之内健史)