日イ学生125人参加 農山漁村で交流実習 愛媛、香川、高知大
日本とインドネシアの6大学の学生125人が両国の農山漁村にホームステイし、地元住民から問題などを聞くなどする地域実習プログラムを実施した。西ジャワ州ボゴール農科大学(IPB)で14日に開かれた成果報告会では、持続可能な社会の構築を目指し、学生が活発に議論を交わした。
このプログラムは日イの6大学(愛媛大、香川大、高知大、ガジャマダ大、ボゴール農科大、ハサヌディン大)が構成するコンソーシアム「SUIJI(スイジ)」から、日本57人、インドネシア68人の計125人の学生が参加する地域交流実習。日本の学生らは先月24日から今月17日までインドネシアに滞在する。
SUIJIは、農業や文化、環境、社会などの分野で相互理解を深めようと2010年に設立。11年から学士・修士課程を対象に6大学でカリキュラム化し、昨年夏にインドネシア3大学から33人が来日した。12〜17年の5年間は、文部科学省がグローバル人材育成や留学生の派遣支援をする「大学の世界展開力強化事業」に認定した。
インドネシアで行われている大学生の農村実習(KKN)と、日本の持続可能な発展のための教育(ESD)を基盤にしたサービスラーニングプログラム(SLP)の融合を目指している。
国際協力機構(JICA)の農学博士稲葉誠さんは「日本もインドネシアも相互協力を求めている。プロジェクトを明確化し、交流で終わらせずに今後の展開を考える必要がある」と期待を寄せた。
プロジェクトの主幹大学である愛媛大学のSUIJI推進室の島上宗子准教授は「学生に『なんとか課題に取り組もう』とする姿勢が生まれた」と57人の成長に笑顔を見せた。
■研究の課題発見
高知大学農学部2年の細江真優さん(20)は、ジョクジャカルタ特別州グヌン・キドゥル県バニュソチョ村に滞在した。村の小学校を訪ねて日本文化を紹介。ごみ拾いの活動にも参加した。バニュソチョ村の人の明るさとフレンドリーさに驚いたと村での生活を振り返る。最後は「帰りたくない」とホストファミリーに涙を見せた。
同大学同学部1年の高津綾子さん(19)は「バニュソチョ村の人々は、物を大切に使うことを知っている。日本人は自分の周りに物が溢れすぎていることを認識するべきだと思った」と話した。
唯一の4年生、香川大学農学部食品科学コースに所属する日比光磨(こうま)(22)さんはインドネシアの食品事情を知りたいと思い参加した。大学ではオリーブの葉に含まれるポリフェノールの効用を研究している。
「インドネシアの食文化を体験することで、現状と課題を発見する機会にしたい」。同州バントゥル県スリマルタニ村に滞在し、「辛いものか甘いものしかない。彼らの健康はどうなんだろう」と疑問を持った。4月から同大学院の研究室に進学し、今年9月からガジャマダ大学で研究することも考えている。「インドネシア特有の食べ物からサンプルを採取して、健康を促進する成分を見つけたい」と語った。(西村百合恵、写真も)