ジョコウィ氏、大統領候補 「その命に服する準備ができている」
ジョコウィ・ジャカルタ特別州知事は14日、闘争民主党(PDIP)の大統領候補になったと宣言した。総選挙での「ジョコウィ効果」がどれほど大きいかが、7月の大統領選のすう勢を決める展開になった。
ジョコウィ知事は同日午後、北ジャカルタ・マルンダの「ピトンの家」の視察中、家の前で報道陣に対し「メガワティPDIP党首からPDIPの大統領候補になるよう命じられた」と語り、「慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において、私はその命に服す準備ができている」と宣言した。その後紅白旗を額、胸に押し当てた。周囲の記者、住民は「神に感謝します」と応じた。
ピトンはオランダ統治時代のジャカルタの地方ヒーローで、ロビンフッドのような存在。
メガワティ氏の長女、プアンPDIP選挙対策本部長は同日の記者会見で、メガワティ氏が書いたジョコウィ知事を大統領候補に据えた念書を報道陣に見せた。プアン氏は総選挙での得票率目標を27%に定め、連立相手については「総選挙に集中する」として明言を避けた。16日からキャンペーン解禁で選挙戦本番。PDIPは知事を前面に押し出して、単独で大統領選出馬に必要な議席20%以上を狙う。09年選挙戦で唯一この条件を満たした民主党はユドヨノ大統領を再選させた。
インドネシア科学院(LIPI)のシャムスディン・ハリス上級研究員は「副大統領候補は支持率からみれば、カラ前副大統領が妥当だ。だが、カラ氏は高齢で、マーフッド憲法裁前長官がいいともいえる。司法府の長としての経験がジョコウィ知事の経験を補うことになる」と語った。マーフッド氏も民族覚醒党(PKB)出身でゴルカル党もバクリー党首(同党大統領候補)のペアに検討していた。「連立相手として最も可能性が大きい党はゴルカル党。最も小さいのは民主党。メガワティ氏と民主党党首のユドヨノ大統領が不仲なためだ」
■知事任期途中が弱みか
シャムスディン氏は連立は小さい方がいいと指摘した。「大きな連合が効果的ではないことは、第2次ユドヨノ政権の6党連合が証明した」さらに「知事を2年務めないうちに大統領に乗り換えようとすることが、弱みになるかもしれない」と分析した。
グリンドラ党のファドリゾン氏は「われわれは楽観的。まずは総選挙に集中する」。ゴルカル党のイドゥルス幹事長は「大統領選がより素晴らしいものになるだろう」と語った。民主党のシャリフ・ハサン党首代行(協同組合中小企業相)も「(ジョコウィ氏の人気は)ジャワ島以外では分からない」と話した。
ジョコウィ知事はこの大統領候補宣言の2日前、12日に東ジャワ州ブリタルの故スカルノ大統領の墓に参拝した。メガワティ氏はPDIP本部で13日夜、実業家60人と会合を持った。チャフヨ幹事長は「卸売業、電器販売を営む中堅実業家。コングロマリットは入っていない」と説明した。(吉田拓史、デワンダル・アリョ・テジョ)
■プロフィル 1961年6月21日中部ジャワ州ソロ生まれ。52歳。ガジャマダ大学(UGM)林業学部卒。国営林業企業勤務を経てソロで親族の木製家具工房を経営。2005年闘争民主党(PDIP)のソロ支部長と組みソロ市長選で初当選、2010年に90.8%の記録的得票率で再選した。サッカーやヘビーメタルのファン。