「スラム」再生に遅れ 住民から不満、建設急ぐ
ジョコウィ知事が注力する住宅密集地の再生計画「カンプン・デレット」が遅れている。ジョコウィ知事は「着工から3カ月で終了する」としていたが、4、5カ月経っても躯体(くたい)しかできておらず、住民からは早期の完成を望む声が上がっている。
南ジャカルタ・クバヨランバルのプトゴガンは昨年10月に135棟の建設を開始したが、大雨や洪水の影響で2月末の完成予定が3月19日まで延期された。ジョコウィ知事は先月27日、同地域を視察し建設を進めるよう命じた。
入居予定のスワルヨノさんは近くのカンプンの友人宅に月70万ルピアを支払い部屋を間借りしており、「賃料の負担が大きい」と不満を漏らす。
居住面積は1世帯につき最大36平方メートルと限定され、いわゆる「スラム」だった以前より面積は減少する。住民は「公園などの公共スペースはいらないから居住面積を大きくしてほしい」との声も寄せたが、最終的には政府の案に合意したという。
プトコガンはもともと州有地で政府の施設があったが、1984年に大規模な火災で消失。その後住民らが違法に占拠し、住居が密集、川にはごみがあふれるようになった。ジョコウィ知事はスラム改善の事例を作るとして住民を説得し建設を開始した。
カンプン・デレットの計画は2種類に分かれる。一つはすでに密集地にある住宅の改修費を補助するもので、1戸に付き最大5400万ルピアまで。改修面積も最大36平方メートル。
二つ目はプトゴガンのようにスラムを一掃し、政府が費用を全て拠出し、新しく街区の建設を進めるものだ。部材を規格化することで、工期を短縮し、費用も抑える。街区内には幼稚園やワルンを整備し、排水路などインフラも一体的に整備する計画だ。
プトゴガンを成功事例に他地域へ広め、ルマススン(団地)の建設とともにジョコウィ知事が力を入れる、住民をより快適な環境で集住させる計画の一つだ。
州政府は今年、新たに70カ所にカンプン・デレットの補助、建設をする計画で、今年6月までに予定地を決定し、予算は1兆197億ルピアを見込む。中央統計局は2013年末までに416のRW(町内会)にスラム地域があるとし、27地域でカンプンデレットが計画された。(高橋佳久)