【ジャカルタ・フォーカス】眺め良好、歴史めぐり 首都の魅力を発見 2階建て観光バス
ジャカルタの目抜き通りを2階建て観光バスが駆け抜ける。州政府が先月、観光客誘致の目玉として、紫と黄色に塗られたバス5台を導入。パサールバルやイスティクラル・モスクなど、州内の観光地を回るバスに乗った。
始発地点は中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)ロータリー前の停留所。添乗員がドアを開けると、子ども連れの親子らが2階の最前席に陣取った。車内には約60席の座席が配置され、大きな窓ガラスから街の景色を一望できる。スマートフォンやカメラを手に撮影したり、友人や家族と談笑したりする姿があった。
外国人は少なく、ジャカルタへ観光に来た人や地元住民が多い。南ジャカルタ・テベットから子ども2人を連れてきた母親のディナさん(34)は「初めて乗ったけど想像以上に快適。いつも車の中で渋滞に巻き込まれてばかりだから新鮮に感じた」と満足気だ。
タムリン通りを北上すると、独立記念塔(モナス)が目に入ってきた。車内アナウンスからはツアーガイドのヤンセンさん(28)によるモナスの歴史ガイドが始まった。渋滞に巻き込まれ車両が止まると、ヤンセンさんは2階へ上がり乗客に話しかける。「乗客にはこのバスにもう一度乗ってもらいたい。自分がジャカルタの魅力を発信していく」と力を込める。
各地を回り、ヤンセンさんの歴史ガイドを聞きながら、2階席からジャカルタを眺めるとジャカルタの魅力を再発見できる。利用客にも好評だ。ヤンセンさんのように同乗するツアーガイドは9人いるという。
ゆっくりと走るバスの舵を握るのは全て女性運転手だ。平均時速20キロで安全運転を心掛ける。乗客のスリさん(26)は「トランスジャカルタに乗るけど運転が荒い。このバスの乗り心地は良く、ゆっくり景色が見られる」と話す。
バスは芸術劇場、イスティクラル・モスクを回り、大統領宮殿(イスタナ)から州庁舎に立ち寄った。さらにタムリン通りを南下し、サリナ・デパート前の停留所に到着。約30〜40分の旅が終わった。
運行時間帯は毎日午前7時〜午後9時。3カ月間は無料で、今後は西ジャカルタのコタ・トゥア(旧市街地)や南ジャカルタのブロックMを結ぶ路線も開設する予定という。 (小塩航大、写真)