州病院の運営最高に 相次ぐたらい回し改善 ジャカルタ
ジャカルタ特別州のジョコウィ知事は26日、北ジャカルタの州立コジャ病院を運営体制や設備の指標である最高レベルの「A」に引き上げる計画を明らかにした。レベルが最高位の病院は患者を他病院に送ることができないため、州政府は問題となっている患者のたらい回しにも対処できるとしている。
ジョコウィ知事は、同病院で人員が不足していることが大きな問題だが、設備は十分であり「早急に増員して、レベルAに引き上げたい」と述べた。州は26日にも中央ジャカルタのタラカン病院をAに引き上げるなど、医療整備に力を入れている。タラカン病院は2カ月前まではCだった。
インドネシアの病院はA〜Eまでにランク分けされており、クラスB、Cが7割を占める。クラスAに指定されるには複数の専門医を置き、保健省の検査に合格する必要がある。
州営病院のうち、レベルAは中央ジャカルタのタラカン病院と東ジャカルタのプルサハバタン病院のみ。ディエン・エマワティ州保健局長は東ジャカルタのパサール・ルボ病院や西ジャカルタのチュンカレン病院も引き上げる計画としており、「医療施設を充実させ、患者がたらい回しにされることがないようにする」と話した。
ジョコウィ知事は医療の充実を目指しており、教育と保険の無料化を公約に掲げる。州内では病院の設備不足により、呼吸器に問題を抱えた新生児が満床を理由に病院に受け入れられず死亡する事例が起きている。私立病院の高額な医療費が払えない市民から公的医療の充実を求める声が高まっていた。
病院の充実のほか、低所得者向け無料医療制度「ジャカルタ保健カード(KJS)」を導入。今年から、中央政府は国民皆保険の実施に向け社会保障機関(BPJS)を設置した。しかしBPJSの医療保険(JKN)では、保険料回収の懸念などから参加する私立病院が少なく、患者が公立病院に殺到しているが、満床で患者からたらい回しにされたとの苦情が出ている。(高橋佳久、写真も)