バンドン、警官が若者殴る 「シンデレラ時間」で波紋 娯楽施設営業規制
飲食店や娯楽施設の午前0時以降の営業規制問題で、西ジャワ州バンドン市で22日、警察官が取り締まりの際に飲食店にいた男性歌手の頭を殴って大けがを負わせていたことがわかった。警察が独断で午前0時の門限を設定する「シンデレラ時間」に波紋が広がっている。
けがを負ったのはバンドンなどで人気のバンド「ピュア・サタデー」のイヨさん(19)。22日深夜、飲食店にいたところ、深夜営業の取り締まりに訪れた私服警察官に酒瓶で頭を殴られて20針以上縫うけがを負った。イヨさんは、店内に踏み込んだ警察官が客を乱暴に扱うので理由をただしたしたところ、いきなり殴られたと話している。
リドワン・カミル市長は23日、イヨさんを見舞って事件の調査を約束。短文投稿サイト「ツイッター」上では殺到する批判に対して「バンドン市は深夜営業の規制を実施していない」と釈明した。同市長は西ジャワ州警が独断で取り締まりを実施していると説明している。
治安強化を目指す西ジャワ州警の要請を受けた同市は先月、深夜の営業時間の短縮を検討していた。2012年に施行された現行条例では娯楽施設の営業時間を午前3時までとしているが、これを午前0時までにする方針だった。ただ、条例改正は実現しておらず、今も午前3時までの営業を認めている。
西ジャワ州警の広報官は「規制強化によって路上での犯罪が70%減少した」と話し、実績を誇った。
バンドン在住の在留邦人によると、飲食店主は「違反が見つかると、店内に警察官がなだれ込んでくるので時間通りに店を閉めるようにしている」と口をそろえている。
地元紙は警察官による暴行は珍しいことではないと話すバンドン市在住の音楽家の声を紹介し、深夜営業規制が「芸術の都市」バンドンに暗い影を落としていると懸念した。(田村隼哉)