貯金してごみ減らそう ごみ銀行 デンパサールで30カ所
ごみ銀行。古紙やプラスチックなどの資源ごみを買い取り、代金を専用の通帳に記録して保管し、利用者はごみを持ち込むことで貯金ができる。家庭用品メーカーのユニリーバ社がごみの分別と再生を地域社会に広めるために始めた全国規模のプログラムで、現在、バリ島デンパサールには30カ所にできている。その一つ、ニョマン・アスタワさん(50)が自宅に開いた「アブカサ・ごみ銀行」を訪ねた。
利用者が使い終わった学習ノートをどっさり持ってきた。学習ノートは1キロ800ルピアになる。ニョマンさんが重さを量り、預かっている通帳に重量分の金額を記入した。その横ではニョマンさんの父親ウィディアさん(89)がミネラルウォーターの空コップのふたの部分を一つ一つ剥がして重ねていた。毎月400キロから1千キロ集まるこれらのごみは専門の業者が買い取り、ジャワ島の再生工場に運ばれる。
隣組長を務めるニョマンさんがごみ銀行を開設したのは2011年の終わり。現在84の個人、学校、事務所の通帳を預かっている。「増え続けるごみを見て自分にも何かできないかと思い、このプログラムに参加した。場所も時間もあるし、手伝ってくれる家族もいるからだ」と話す。
始めるにあたり、まず講習会に参加し、通帳や銀行名を書いたバナーの提供を受けた。デンパサール市からはごみ箱などをそろえる経費として600万ルピアが支給された。利用者の預金に利子はつかないが、それまで生ごみと一緒に捨てられていたごみが少しづつ集まるようになった。
「最初はごみを分別したり、持ち込んだりするのを恥ずかしいと感じる人もいたが、今ではそういう意識も変わりつつある。ごみ銀行がそのきっかけを作っている。利用者の間ではポイ捨てもなくなった」とニョマンさんは話す。
ニョマンさんが得る利益はプラスチックの場合1キロに付き約100ルピア。「もう少し利益率が良ければ新車が買えるようになるまで頑張るんだが」とニョマンさんは笑った。(バリ島デンパサールで北井香織、写真も)