楽天MNCの稲葉社長が講演 「若者にもチャンス」 ビジネス学ぶ学生対象に
南ジャカルタのインドネシア・バンキング・スクール(IBS)は十五日から十七日の三日間、学生向けにインドネシアでのビジネス展開に関するセミナー「ナショナル・バンキング・フォーラム」を開催している。十五日には楽天MNC社の稲葉陵太社長兼CEO(最高経営責任者)が、インドネシアにおける電子商取引のビジネス展開の可能性について講演を行い、約百人以上の学生らが出席した。セミナーでは学生らのビジネス提案を募集し、優秀者には実際に資金を提供するコンペティションなども行う。同日にはシャリフディン・ハサン協同組合・中小企業担当国務相も出席し、開幕のあいさつを行った。
「オンラインビジネス・イノベーション」と題し、インドネシア国内における電子商取引について講演した稲葉社長は、今月八日に楽天が買収を発表したカナダkobo社が、電子書籍閲覧端末の事業として、初めて人気SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のフェイスブックと提携していることを説明。kobo社は米系ネット通販大手のアマゾンのタブレット端末キンドルとは異なり、各国の書籍販売や小売業者と提携して販売網を築いていることを強調した。
また、卵をネット販売したことで年収が増大した人の例を挙げ、電子商取引では、巨大資本だけでなく学生らの身近な人々や学生自身にもビジネスチャンスがあると訴えた。稲葉社長は「学生たちにただ商品を説明するだけでなく、『もし、これができたら』ということを考えてもらい、自分自身も起業してみようと考えてもらえたらいい」と話した。
インドネシアでは中間層の増大などから今後、インターネット利用者の増加が見込まれ、稲葉社長は「二〇一五年より前にインターネット利用者は一億人に達する可能性もあるのではないか」と語る。インドネシアが巨大な市場になると予想されることから、「電子商取引が拡大する前から事業を開始し、データを蓄積することが大切」と話した。
今年、インドネシア事業を開始した楽天MNC社は急速に成長を続けており、インドネシアでは主に電化製品とファッション関連製品が好調だという。今後はコンドー・インターナショナル社の日本米の販売を行うなど、インドネシアでのオンラインショッピングを拡大していく予定だ。