ジャワ東部に火山灰 クルッド山が噴火 10万人避難、空港閉鎖 3人死亡
東ジャワ州クディリのクルッド山(1731メートル)が13日夜に噴火し、政府は半径10キロ以内の住民約10万人に避難を命じた。噴煙は高さ17キロにまで達し、14日にかけてジャワ島東部の全域に火山灰が降り、スラバヤ、ジョクジャカルタ、ソロなど主要都市の空港は閉鎖した。崩壊した家屋の下敷きになるなどして、3人が死亡した。
スラバヤとジョクジャカルタでは、降灰量は2センチ。市民はマスクをし、火山灰が舞い上がり視界不良の中、自動車は白一面となった道路を減速走行した。西ジャワ州バンドンでも降灰を確認。気象地理物理庁によると噴煙は15日はさらに拡大するという。
国営空港管理の第1アンカサプラによると、各空港の閉鎖は15日朝まで続き、再開は状況によって判断する。ジョクジャカルタのアディスチプト空港に関しては、一部メディアで3日間閉鎖と報じられたが、再開日程は現時点で未定としている。国内線では14日、約150便が欠航。首都郊外のスカルノハッタ空港では、払い戻しを求めたり今後の運航予定を尋ねる利用者で混雑した。
鉄道は通常運行しているが、国鉄によると週末のガンビル駅(ジャカルタ)発東部ジャワ地域行きチケットは完売した。
世界遺産のボロブドゥール遺跡(中部ジャワ州マグラン県)も降灰により、観光客の見学が禁止された。
国家災害対策庁によると、クルッド山東方のマラン県の村では、女性(60)が火山灰を吸って呼吸困難になり死亡。積もった火山灰の重みでつぶれた屋根や壁の下敷きになるなどして、70歳と80歳の男性2人も死亡した。
日本政府の在スラバヤ総領事館と、ジョクジャカルタが管轄の在インドネシア大使館は今後、邦人への注意を呼びかけていく。
ユドヨノ大統領は14日午前、緊急閣議後に記者会見し、国軍や警察など関係機関に対し、現地住民の避難支援を指示したと発表。今後2日間に支援重点地域を検討し、3日以内に現地視察するとしている。
クルッド山は、近年では1990年にも噴火し、34人が死亡。2007年にも噴火している。19年の大噴火では5千人以上が犠牲となっている。
今回の噴火では、今月2日から火山活動が活発化し、13日には山頂のマグマが上昇してきたため政府は警戒を呼びかけていた。火山地質災害対策局(PVMBG)は観測データに基づき、再噴火は当面はないと予測している。(山本康行、前山つよし、8面に関連記事)